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外科医の技量のこと        
                                         2015年3月24日
 
 群馬大学病院で同じ外科医が執刀した患者が手術後に複数亡くなっている問題で、被害者側の弁護士が会見で「手術が稚拙」とか「カルテが記載されていない」と話していることを聞いて、23年前に私が清水病院で経験したことと医療界が何も変わっていないことにショックというか落胆というか、改善できていないことが問題にならないこと自体不思議な業界だと思いました。

 そもそも、外科医の技量について一般の人には情報はないし比べようもないので、大きな病院であればどこでも同レベルの手術を受けられると思い込んでいると思います。外科の手術を受けるときけば、無事を祈って、術式までは調べても手術の腕前まで調べる人はまずいないのではないでしょうか。

 私も外科医の技量の差など考えたこともなかったのでひどい手術を受けてしまったのですが、「下手ではないのか」と疑問をもった時は後の祭りでした。裁判になって協力医の意見書を読んで愕然としました。

<小坂医師が手術したひどい傷あとを見て、びっくりした。これほど下手な外科医が日本にいるんだ、それが公立病院の要職にある、と知って驚いたのです。…中略…いずれ病院側や清水市も気づいて、何か手を打つだろうと考えていた>

と書かれていたのです。しかし、下手な手術に誰も手を打つことはありませんでした。

 「カルテが空白」は私も経験しましたが、私の主治医の場合、意図的だったとしか思えませんでした。空白であれば後からいくらでも書き加えることができるし、裁判で都合よく主張できるからです。

 群馬大学病院の問題が報道された時、なぜもっと早く手を打てなかったんだろうと一般の人たちは思ったと思います。 

 しかし、「下手な手術」に気付いて声を上げることがどれほど難しいことか、かつて清水病院の職員や被害者を取材して雑誌記事にしたルポライターの米本和広氏が読者の疑問に答えて「ひどい病院が噂にならないわけ」と題して記事を書いています。

 問題を抱えている病院について共通した認識だと思うので、1999年の記事ですがご紹介します(http://www3.tokai.or.jp/shimizu/media_01_3.html)。
 
 医療界の改善のために考えるべき提案だと思います。


                                 竹下勇子(2015年3月24日)


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