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『がんは治療か、放置か 究極対決』(毎日新聞出版)本ご紹介   2016年10月14日


 『がんは治療か、放置か 究極対決』は、近藤誠先生(近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来所長)と林和彦先生(東京女子医科大学がんセンター長)の対談と、それぞれお二人への個別インタビューがまとめられた本です。読み終わって一番の感想は、林先生がよく対談に応じ、発刊に応じたなと思ったことです。

 近藤先生が「医者であるとともに学者でありたい」「学者の部分を持ち続けることが必要だ」というお考えに対して、林先生が「学者である前に医者である」という、私には意味がよくわからないのですが、立ち位置の違いが全体によく表れていたと思いました。

 近藤先生を多角形に例えると林先生はその中に納まる円を想像しました。近藤先生が学識を深めるために角々をつつくように調べている様子に対して、林先生は患者の対応に丸く丸く動いている感じがします。 

 林先生は個別インタビューで、乳がんの項では「私は乳腺の専門家ではないので」と話しているし、前立腺がんの項では「私は専門外なので知り合いの地方医大の泌尿器科教授に尋ねておいたんですが」とあり、知識の乏しさに正直で素直だとは思いますが、それでなぜ対談に応じたのかと疑問が残ります。でも、対談に応じたからこそお二人のご意見を知ることができてよかったと思います。

 面白かったのは、林先生が近藤先生に対して「私人・近藤誠」と「公人・近藤誠」を使い分けているのではないかと質問しているくだりです。「え〜っ?」と思いましたが、まさしく人として医師としての真価を問われています。近藤先生は即座に否定していますが、林先生の質問の発想に過去を思い出しました。

 私は清水病院で受けた乳がん手術や抗がん剤治療に疑問をもつようになってから、専門家の意見を聞きたくて病理医や乳腺専門医などに相談をしたことがあります。彼らは本を出していたり、患者会や医療問題に関する集会に参加していたりして問題意識が高く、患者に対して理解ある発言をされていたので私の疑問にも答えて下さると思ったからです。

 しかし、相談を切り出した途端に豹変したり、相談内容を伝えて協力を約束してから遠路時間をかけて会いに行ったにも関わらず、会った途端に協力を断られたり、中立の立場で専門家としての意見をききたいと思っても眼前で門戸が閉ざされる経験をしました。患者に協力的だと思われる医師たちでも被害者と関わりをもちたがらないことを思い知らされたのです。保身が先立ち公私の別や裏表があって当たり前のような風潮でした。

 ところが、近藤先生は変わりませんでした。出会ったのは20年以上前になりますが、私の疑問に最初から真摯に答えて下さり、裁判に協力する約束を守りとおして下さいました。

 近藤先生のスタンスが変わらないのは、常に真実の探求を目指し続けていらっしゃるからだと思います。病気に苦しむ患者のためはもちろん、医療被害に苦しむ患者の救済に関わっていらしたことも真実探求の一環ではないかと思います。

 私は乳がんについて知識がなかったために手術と抗がん剤服用によって元に戻らない身体になり、その後の人生を後遺症で苦しみ続けていますが、同じような人が出ないように近藤先生にはもっともっと情報発信をがんばっていただきたいと願うばかりです。

 紹介した本は、お二人の対談と個別インタビューをジャーナリストであり大腸がん患者でもある森省歩氏が司会しています。<みずからの頭で理性的かつ合理的に考えることの重要性を痛感させられました。>と対談をしめくくっています。

 お薦めの一冊です。


                              竹下勇子(2016年10月14日)



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