2005/3/31

Naumburg
 
 
 
出発の朝、早起きしてからパソコンを開いて、UEFAカップの試合をチェックした私。VfBシュトゥットガルトは・・・ホッ、勝ってる!
でも、ティモ君が出てない。どうしたんだろう?
ティッカーを読むと、どうやら試合前のウォーミングアップ中に怪我したらしい・・・とのこと。ええ〜、何なのよ!せっかくドイツまでこれから観に行こうってのに!どういうつもりよ〜!(おいおい)
かなり動揺を抱えつつ、何とか平静を装ってダンナさんに駅まで車で送ってもらいました。ううう・・・でも心配だわ。
 
名古屋空港からルフトハンザで12時間、憧れのドイツの地へ無事到着したのは、現地時間の午後3時半。
飛行機内でゼクトと白ワインを飲みすぎてちょっと酔っ払っちゃったとか、なんだかんだ言いつつ「あの子は試合に出られるのかしら〜?でなきゃ○%くらい旅行の意味がぁ〜!」と泣きそうになったとか、それはさておき。
広い空港内で何とか入国手続きを済ませ、荷物を受け取り、両替をしてドイツ鉄道の「ジャーマンレイルパス」のヴァリデーションをすませました。10分1ユーロのインターネットパソコンがあったので、その後のVfBの状況をチェック。ティモ君の怪我は背中。まあ、大したことはなさそうなんだけど、エースのクラニーがこの試合でファウルを受けて大怪我、2ヶ月はダメとのこと。ええ〜、クラニーまでかっ!メイラさんだって無理そうなのに、どうなるのよ。ティモ君は日曜日、出られるの?
でも、心配しても仕方ないし・・・とりあえず、いざSバーンでフランクフルト中央駅へ!
電車に乗り込む間際、ホームと電車の隙間に落ちそうになった太ったおじさんをみんなで助けあげてるシーンを目撃し、「うわ、私も気をつけなくちゃ!」と緊張してしまったのでありました。(旅行される方、お気を付け下さい。マジででかい隙間です)
 
 


さとさんとは、フランクフルト中央駅からナウムブルクへのICE(ドイツ鉄道の新幹線)の中で落ち合う算段でした。ここなら多分ほとんど日本人もいないだろうということで・・・。
しかし、ちょうど帰りのラッシュだったのか、列車は結構人でいっぱい。最初は要領もわからなくて座れず、しばらくデッキで。窓の外に広がるメルヘンチックな風景を眺めながら、「ああ、ドイツに来たんだな〜」と実感。この路線は素敵な風景がたくさんで、嬉しかったです。
次の駅辺りで人がたくさん降りたので車両に入って座ったら、斜め前方に可愛い日本人のお姉さん発見♪そしてその人、こっちに向かって手を振ってニコニコ。「さとさんだ〜♪良かった!」無事対面した私達、ナウムブルクまでの3時間を「煩悩いっぱいのオバカ話」で盛り上がりつつ、楽しい列車の旅の始まりとなったのでした。
いや〜すみませんさとさん、ホントにバカな話ばっかりして・・・(大汗)
ザクセン・アンハルト州の「ドームの町」ナウムブルクに着いたのは午後9時過ぎ。イナカ駅なので、エスカレーターも何もなく、ホームの階段をスーツケースを下げて運ぶ細腕の私達・・・ううう。
夜だし、荷物は重いし、ホテルまでは歩くと結構遠いので、タクシーで行きました。「マルクトのホテル・アーヘンにお願いね」と行ったら「ヤーヤー、アーヘン!」と荷物を積んで気分よく送ってくれたタクシーのお兄さんは「ティモ君がもうちょっと年食った感じの美形さん」。「さっきのタクシーのお兄さん素敵だったね」と言ったら、「え〜、ちゃんと見なかった!私、そういうのになかなか気が付かないの。あら〜!」とさとさん。
ああ、もったいないですぅ・・・。


ホテルの窓からヴェンツェル教会
ホテルにチェックインし、指定された部屋はなんと「マルクト広場に面したお部屋」でした。窓を開けるとマルクトが目の前、そしてその向こうにはあの「ヴェンツェル教会」が。絶好のロケーションで、私もさとさんも大感激!
このホテルを選んだ最大の理由は、「マルクト広場に面している」だったんです。でも、建物の構造上、実際にマルクトを眺められるのは5部屋くらいだけのようです。ダブルルーム。(といっても、ジャーマンダブルは「掛け布団は別々」なので安心)マルクトに面した部屋を希望の際は、その旨を予約時に伝えておくといいと思います。(ダブルを一人で使う・・・という選択も用意されています)
私達は偶然だったので、「ラッキーだったね〜♪」大喜び。その日は一階レストラン「カルロス・マグヌス」で軽くスープだけで食事を済ませ、次の日の「コンサート三昧」に備えて寝ることに。私が頼んだのは「きのこのクリームスープ」でした。この季節ならではの味。パンもついてて結構それだけでおなかいっぱい。おいしかったです。レストランに行ったら、「や〜ぱんからのお客さんだよ〜」と言われました。やっぱ珍しいのかな?日本のガイドブックには載ってないホテルだし。
その夜は時差ぼけで深夜に目が覚めてしまったのだけれど、定時に鳴る教会の鐘を聞きながら、あまり苦にもならず・・・。
 
これは、朝にホテルの部屋から撮った「マルクト広場とヴェンツェル教会」です。ヴェンツェル教会は、マルクト広場の南側にあります。
あの教会の中に、「憧れの彼(その1)」がいるのね・・・♪
ドーム・西側のステンドグラス
さて、土曜日。オルガンコンサートは正午からなので、私はナウムブルク名物の大聖堂(ドーム)へ。ドームを見たことのあるさとさんは別行動。
マルクトから5分ほど歩くと、茶色い屋根の大きなドームに着きます。入場料は大人4ユーロ、写真撮影希望ならそれに加えて5ユーロ。結構日本人も来るのか、日本語で書かれた説明書が用意されていて、貸してもらいました。
大きなドームで、中には両側に聖歌隊席があります。この写真は西側。ここの壁には、このドームを作る際にたくさんの寄進をした街の有力者の等身大の像が並んでいます。この中の一番有名なのが、美女で知られる「ウタ」さんと、そのダンナ様の「エッケハルト」さん。彼らはガイドブックでもよく紹介されている有名人です。聖歌隊席と会衆席は区切られているのですが、その区切りの上部には「キリストの受難」を描いたレリーフが。これも見事なもの。
「カトリックの教会は華やかだなあ・・・」と感心しつつ、ゆっくり見て回りました。結構有名な観光地なのか、土曜日ということもあって見学者がたくさん。ドイツ語でのガイドツアーがあるらしく、大きな声で説明している様子も。私は東側の聖歌隊席で一休み。ここが一番落ち着いたりして。(笑)
東側聖歌隊席の下には、地下祭室があります。このドームに残る一番古い部分はここ。中に入ると、かなり濃い空気が。「眠りの場所」なんですよね。もう収められていた棺は残っていないようだったけど、ここに込められた「祈り」はそのまま残っている感じでした。
憧れの「彼」・ヒルデブラント・オルガン
このお二人が「ウタ」(右)と「エッケハルト」(左)。このドームの名物で、中世のマイスターによって作られたものですが、作者は誰だかわからないそうです。このドームには他にもたくさんの寄進者の像がありますが、その中でもウタさんは一番の美人さん。大きさは等身大ですが、思ったより小さいです。昔の人は小柄だったのかな?
ドームの外には、回廊に囲まれた中庭があります。ここも雰囲気のいいところで、ゆっくりぐるっと回ってみました。途中の壁に戦争の犠牲者を弔う記念碑が埋め込まれていて、「あなた方の犠牲の上に私たちがあります。安らかに」という旨の文が刻まれていました。こういう場所に来ると「人の祈りの力」というものをひしひしと感じますね。
人間の心って、実はすごいパワーを持っているのかもしれません。
".....und wer diese Orgel gesehen und gehoeret, der ist niemahls ohne Bewunderung davon hinweggegangen."
                 Johann Christoph Altnikol 1748-1759 Organist an St. Wenzel
 
「このオルガンを見、聴いた人は誰でも、賞賛なしで立ち去ることは決してないだろう」
               (ヒルデブラント・オルガン初代オルガニスト、ヨハン・クリストフ・アルトニコル)
 
ドームから戻り、いよいよ「ヒルデブラント・オルガン」に会いに「ヴェンツェル教会」へ。コンサートは正午からだけど、早く会いたくて♪11時頃に教会へ。
バッハと同時代のオルガンビルダー「ツァハリアス・ヒルデブラント」の最高傑作であるこのオルガンは、バッハとジルバーマン(当時の最高クラスの名オルガンビルダー)が鑑定して絶賛したオルガン。ヒルデブラントはジルバーマンの弟子ですが、実力は師匠以上のものを持っていたらしく、彼が独立する時にジルバーマンは「すこぶる有能なオルガンビルダー」のお墨付きをくれると共に「でも、ザクセンとその近辺で仕事しちゃダメ」という条件も言い渡したんだとか。弟子の才能と実力にちょっと嫉妬していたらしいです。でも、ヒルデブラントもそんな条件は無視し、自分の才覚で仕事をどんどん取っていったそうで。(笑)このオルガンはその中のひとつ。彼の作ったオルガンは戦争や災害で壊れたものが多く、残っているものは数少ないのですが、これは最も大切にされて残った遺産。彼の名前をそのまま冠して「ヒルデブラント・オルガン」と呼ばれています。
どうもバッハも、「俺様」な師匠より、性格のいい弟子の方を好きだったようで、ライプツィヒに住むヒルデブラント一家と家族ぐるみのお付き合いをしていたそうです。
このオルガン、1993年から2000年にかけて大改修されて、今では多くのオルガニストの「憧れのオルガン」だそうです。何と言っても「バッハが鑑定して絶賛した」というお墨付きはすごいですよね。一説には、「バッハが理想とした音を持つオルガン」と言われています。バッハファンにも憧れのオルガンです。
久しぶりに会った「彼」は、記憶に残っていたよりもずいぶん色白で、もっと清楚な感じ。あの時には夕方だったから、光の加減のせいかな?やっぱりとてもきれいで優雅。他には人がいなくて、つい言ってしまいました。
「久しぶりね。また会いに来たわ。」
 
一旦外に出て、またコンサートのために教会へ。さとさんとまた合流。この日のオルガニストは、スイスのバーゼルから来た「アンネマリー・ツィーンダー」さん。色々な所からわざわざ弾きに来てくれるみたいです。さすが!
このオルガン、姿も美しいですが、もちろん音だって最高級。教会との相性がいいんでしょうね。とても柔らかい音色で、きらびやかな音になってもとても澄んだ響き。このオルガンを聴くと、いわゆる「パイプオルガン」のイメージががらっと変わります。残響も長くて、最後に音がフワッと浮き上がって消える感じ。木管系の可愛い音色もとてもチャーミング。本当に素敵な音色のオルガンです。
この日のプログラムは、もちろんバッハ、そしてハイドン、ヴァレリーといった古典派の作品。さとさんは「知ってる曲があって嬉しかった!やっぱり素敵!」と大喜び。私も夢心地でした。
コンサートが終わり、ふと時計を見ると「12時45分」。
「うわっ、電車の時間が!」と教会を飛び出して駅へ走る2人。
コンサートは一応「30分」ということになっているのですが、あくまで「目安」らしいです。
 
ヒルデブラント・オルガンが聴けるのは、5月から10月までの水曜・土曜・日曜の正午。30分間(一応。目安です)のコンサートです。1人2ユーロ。
4月はコンサートはありませんが、日曜以外は見ることはできます。11月〜3月の冬の間はお休み。
CDは礼拝堂脇の牧師控え室(事務所?)、コンサート前の受付、シティインフォメーションで買えます。ナウムブルク市公式サイトでも通販しているようです。(買ったことないけど)

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