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静岡市立静岡病院・被害者の声(1)

退院のための心臓カテーテル検査後に死亡

『病院は真実を語れ』 医者の良心に問う
市立静岡病院心臓血管外科で初めて起きたカテーテル検査後の死亡事故

 1996年5月10日、私の夫は心臓バイパス手術後に、退院にあたって新しくつけたバイパスが開通しているかどうかを確認するためのカテーテル検査を受けました。検査は約2時間で終了するとの事だったので、遅くとも午後1時には病室に戻ることになっていました。

 それが2時過ぎても戻らず、私は3時30分頃放送で検査室前に呼び出され、主治医から「造影終了直後から苦しみだしたが、次の患者さんがカテ室に入っていたので処置が遅れ、再度カテーテル検査を行なうと、開通していた新しいバイパス4本のうちの3本が閉塞し、瞳孔が開いてきてしまい心停止してしまったので、心臓マッサージをし、どうにか息を吹き返したので人工呼吸器をつけたところです。心原性ショックを起こしたと思います。」と告げられ、説明同意書にサインを求められました。

 主治医は緊張のあまりか小刻みに震えていました。その様子から、今、検査室の中でただ事ではない大変なことが起きていると思うと、私はいてもたってもいられませんでした。措置が終わったのは午後6時過ぎでした。ICUに運ばれ面会した時は、PCPS(経皮的心肺補助装置)という器械をつけられ、生きている人間とは思えないほど変わり果てた姿になっていました。

 それから38日間、意識は回復することなく、急性心筋梗塞、無酸素による重症の脳梗塞、緑膿菌による肺炎で死亡しました。

 夫は平成7年9月、胸に痛みを感じ、市立静岡病院循環器科にかかり、不安定狭心症と診断されました。10月に入院し経皮的冠動脈形成術を受けたのですが、不成功に終わり、翌8年に胸部心臓血管外科に入院し手術を受けました。術後は順調に回復し、退院するのを楽しみにしていた矢先の出来事でした。

 「元気に病室から歩いて行ったのに、いったい検査室で何が起きたのか?どうしてこの様なことになったのか?」私は叫びたかった。しかし、毎日のように回診し、申し訳なさそうに説明してくれる主治医に「先生、この検査をしなくても心原性ショックが起きたと思われますか。それとも検査をしたから起きたと思われますか。」と訊ねるのがやっとでした。「それは検査をしたから起きた可能性は大きいと思います。」との返事でした。

 夫は、主治医を信頼し、全てを任せ説明同意書にサインをしたのでしょうが、最近カルテの1枚から検査をしたのは、前年の平成7年に採用した医師が検査をしたことが判りました。すでに8年度でどこかに移ったようですが、病院はその医師については一切語らず、私達家族には主治医がしたように思わせていました。

 科長の医師は「1000例以上の検査をしているが、いまだかつてこの病院では起きたことのない症例なので、原因は不明ですが、急性心筋梗塞が起きたということです。PTPSは一度も使ったことはないけれど、この病院では、この様な時のために準備はしてありました。」とのことでした。しかし、その説明では到底納得できません。

 昭和57年に心疾患理学療法(県下初)特三類看護の承認を得、更に救急医療情報伝送システムモデル事業の厚生省指定を受けて、心臓病診療における先進病院ということを掲げてきた病院の、それも検査室の中で起きたことなのに「この病院では初めて起きたことだから、医療事故でもなく、医療ミスでもない、原因不明です。」で済まされるでしょうか。医者にとっては多くの患者の一人にすぎないでしょうが、私達家族にとっては、たった一人の夫であり、父親なのです。

 「本当に原因不明なのか、対処の仕方に誤りはなかったのか、どうしても真実を知りたい。」

 そこで、昨年弁護士を通じて病院へ質問書を出しました。
 いくつかの質問の中で、

1. バイパス手術は心筋梗塞による動脈閉塞防止を目的とすると理解しますが、カテーテル検査中に、新しく付けたバイパスが詰まり心筋梗塞を起こしたのならば、いったいバイパス手術の目的は何であったということになるのでしょうか。

答え:バイパス手術の目的は、冠動脈血流低下した領域の心筋に血流を増加させるための手術です。バイパスグラフトが閉塞すればその効果もなくなり、場合によっては、狭心症、心筋梗塞はおきる可能性があります。

2.それでは新しくつけたバイパスグラフトが閉塞した原因は何だったのでしょうか。

答え:不明です。

 7年経った今も、結局退院時の説明と同じでした。心臓病診療における先進病院が、過去の失敗に学ぶこともなく続ける医療に進歩はあるのでしょうか。

 人間は誰でも失敗することはあるのです。失敗したら、誠意をもって真実を話してくれれば、何も裁判まで起こすことはないのです。医者は被害者がどんな気持ちで裁判を起こしているか、考えたことがあるでしょうか。身体だけでなく心のケアにもあたる医者だからこそ、変なプライドは捨てて、臆病にならず、真実を語ることの出来る人間になってもらいたいのです。

 「昔は、うそつきは泥棒の始まり、今は、うそつきは医者の始まり、」という記事を読み、尊敬される医者も沢山いるのに、一抹の寂しさを感じました。

 

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