メニュー言いたい放題ほぼ同映画の感想映画索引ショートショートの本棚特派員報告リンクとメール更新記録雑想ファニーギャラリー自己紹介いくつかの場面
ちょこっと 言いたい「邦題」 ページ5
注意:ネタばれあります。
コレを読んで、その映画が見たくなるというような効果はありません。
比較は、原題をそのままか直訳か意訳したとして、その意味が邦題とどっちが内容にあっているかなというものです。
英語(もちろん、その他の外国語も)は全然わかりませんので辞書頼み。勝敗の基準は『banbanの主観』です。異論があっても我慢してください。

ほぼ同映画(邦題と原題が同じ、または、ほぼ同じ)の感想はこちら
邦題で映画索引//不完全人物ノート俳優編監督編
ページ1ページ2ページ3ページ4ページ6ページ7ページ8ページ9

81 ジュード・ロウ、綺麗(すみません。ミーハーです)。 
邦題 クロコダイルの涙  勝敗 原題の勝ち 
原題 THE WISDOM OF CROCODILES 
出演 ジュード・ロウ エリナ・レーヴェンゾーン ティモシー・スポール 監督 レオン・ポーチ 1998年
文字通り「愛で生きている」男のお話。自分を愛する女の血を飲まないと生きていけない体質(?)の男の悲しみと苦しみ。医師のスティーヴン(ジュード・ロウ)は、生きるために、自分を愛する女の血を飲んで次々殺す。女を殺すと彼は結晶を吐き出す。それが女の最後の想いの形で、感情は物体なのだと彼は言う。彼は女たちを決して愛してはいなかった。そんな彼が、自分も愛する女と出会う。原題「ワニの叡智」はフランシス・ベーコンの随筆からの引用だそうで、ワニが獲物を食べる時に罪悪感をぬぐおうとして空涙を流す(とヨーロッパでは言われているらしい)、そういう知恵、分別のことを言っているとか。邦題(CROCODILE TEARS)だと、「空涙」という意味でなんとなくずれてしまうような気がするので原題の勝ち。

82 人狼になってもアメリカ人は軽いんだね。暗くなるよりはいいかも。 
邦題 ファングルフ 月と心臓  勝敗 邦題の勝ち 
原題 AN AMERICAN WEREWOLF IN PARIS  
出演 トム・エヴェレット・スコット ジュリー・デルピー フィル・バックマン ヴィンス・ヴィーラフ 監督 アンソニー・ウォラー 1997年
パリへナンパにやってきた3人のアメリカンの1人が美女に一目ぼれするが、彼女は人狼だったというお話。噛まれると自身も人狼になるが、元に戻るには噛んだ人狼の心臓を食べなくてはならない。アンディ(トム・エヴェレット・スコット)を人狼にしてしまったのは自分だと悩むセラフィーヌ(ジュリー・デルピー)は、私の心臓を食べて、とアンディに言うが彼にはそれはできない。結局、アンディを噛んだのは別の人狼だったので良かった良かった。ブラックな笑いがいっぱい。人狼に殺された人間の魂は、その人狼が死ぬまで成仏できないので、アンディには、他の人狼に殺された友人の霊と自分が狼になって殺してしまった軽いアメリカ娘の霊が見えるんだけど、どっちの霊もとっても明るい。邦題「ファングルフ」ってなんだか全然わからないです。でも、「月と心臓」というところが気に入ってるので邦題の勝ち。 

83 実際にあった事……らしい。
邦題 プロフェシー  勝敗 邦題の勝ち 
原題 THE MOTHMAN PROPHECY 
出演 リチャード・ギア デブラ・メッシング ローラ・リニー ウィル・パットン 監督 マーク・ペリントン 2002年
超常現象のお話。ワシントンポストの花形記者ジョン・クライン(リチャード・ギア)の妻メアリー(デブラ・メッシング)は、運転中に何かを見て事故を起こし、入院検査の結果、脳腫瘍が発見されてほどなく死んだ。妻が見たものが何だったのかと考え続けていたクラインは、ある晩、車で走行中に、突然、何百キロも離れた街ポイントプレザントにいた。そこでは奇妙な事が起こっていた。MOTHMAN(蛾男)とは先住民の伝説で、災厄が起こる前に姿を見せると言われている。クラインは、これから起こる災厄が何なのかを知ろうとするが、容易にはわからない。また、わかったからといって何かができるわけではない、と、劇中、モスマン研究者の元教授は言う。そうなのかもしれないなあ。悪い事は、起こればわかるけど、起こらなければ、それが避けられたのか元々なかったのかわからないからね。災厄を予知しても口に出したら変人と思われるだけだし。だからなんだ、というメッセージは感じられない映画だった。PROPHECYは予言。   

84 撮影期間8日間って……納得。 
邦題 案山子男 勝敗 邦題の勝ち 
原題 SCARECROW
出演 トム・ヤング トッド・ロックス ティファニー・シピス リック・エルフマン 監督 エマニュエル・イティエ 2000年。
殺された高校生の怨念が乗り移った案山子が、次々と復讐を始めるお話。高校生レスター(ティム・ヤング)は、先生にも同級生にもいじめられている。憧れの女の子には振られ、トレーラーハウスでは、母が男を連れてきて邪魔にされる。ある晩、母が連れてきた男ヒューイット(リック・エルフマン/保安官役も)に文句を言ったら、逆切れされて、トウモロコシ畑で殺されてしまう。男はレスターを自殺にみせかける。死ぬ間際、レスターの目に映っていたのが案山子。彼は、常々、悩みのない案山子になりたいと願っていたためか、1年後、案山子男(トッド・ロックス/特殊デザイン、スタントコーディネーター、ジュディの兄ジミー役も)となって蘇る。低予算映画らしく1人が何役もやっているところにはちょっと感動した(同じ映像を何度も使うのは控えてほしい)。けど、鎌で首をすっ飛ばされて血が吹き出る胴体、もう少しリアルに作ろうよ。心臓をつかみ出されて死んだ男のお腹が上下しているのは、息をしているからじゃない! 断末魔でピクピクしているんだ! って思おうとしても無理があるし。良かったのは、案山子のデザインと動き。あんなリアルに怖い案山子が立ってたら、カラスもスズメも寄ってこないと思う。でも、トウモロコシ畑すごく広いから、1体じゃ足りない。かといって、あんなのが何十体も立ってたら持ち主だって嫌だろうなあ。殺すたびに凶器が違うのは工夫がみられた。鎌、とうもろこし(耳から脳に突き立てた模様)、指し棒、素手(心臓掴み出し)、フライパン、スコップ。DVD収録の監督インタビューで監督は「プレデターにシザーハンズを足して、さらにクロウも足した」映画だと陽気に言ってましたけど、マジですか? 原題は昔の映画で「スケアクロウ」っていういい映画があったような気がするので、邦題の勝ち。「案山子男」ってぴったりだと思う。   

85 エイリアンは女性らしい。
邦題 インベイド  勝敗 原題の勝ち
原題 INTERCEPTOR FORCE 2 
出演 オリヴィエ・グラナー ロジャー・R・クロス エイドリアン・ウィルキンソン ナイジェル・ベネット 監督 フィリップ・J・ロス 2003年
エイリアンが復讐のために地球にやってくる(独りで)お話。原題を見ると「1」があったんでしょうね。邦題では無視ですが。木星の衛星あたりにエイリアンの基地があるようで、そこから飛び立った1機のエイリアン機が地球にやってきて、チェチェンのグロズヌイ原子力発電所を占拠しそうになり、前回、エイリアンを撃滅した男ランバート(オリヴィエ・グラナー)が新しいチームを率いて戦う。今回のエイリアンは、前回殺された恋人の復讐に来たのだとかで、人間のグラマー美女の姿でうろつきます。軍人などにも変身するけど、美女が気に入っているようで、すぐにその姿に戻る。原発に核弾頭が隠してあったり、それが爆発寸前になってミサイル攻撃されそうになったり、新開発の武器はエイリアン美女に全く効果がなかったり、いろいろ大変ですが、ランバートの活躍で地球は守られます。原題は「防衛軍」とでもいうのかな。基地の自動ドアはどれも斜めに開くのだけど、なんだか、足がひっかかりそうな気がする。邦題はINVADEで「侵略する」だけど、エイリアンは復讐に来ただけなので原題の勝ち。

86 オードリー・ヘップバーンがかわいいです。 
邦題 昼下がりの情事  勝敗 原題の勝ち
原題 LOVE IN THE AFTERNOON 
出演 ゲーリー・クーパー オードリー・ヘップバーン モーリス・シュバリエ 監督 ビリー・ワイルダー 1957年
プレイボーイの大富豪が、ロマンスに憧れる乙女と恋に落ちるお話。パリの私立探偵シャヴァス(モーリス・シュバリエ)の娘アリアンヌ(オードリー・ヘップバーン)は、父の浮気調査の調査書を盗み読んでは恋に憧れる乙女。父の調査対象であるアメリカの大富豪でスキャンダルの耐えない中年男フランク・フラナガン(ゲーリー・クーパー)と知り合い、遊びなれた振りをして彼と付き合う。彼女の読みどおり、フランクは本当の恋愛感情というものを知らずに、ただ浮き名を流していたわけだけど、浮気をロマンスと読み替えるような恋に恋する乙女のアリアンヌが、日常生活が浮気と仕事で構成されているようなフランクと結婚して幸せになれるのだろうか、とちょっと心配になってしまった。「LOVE IN THE AFTERNOON」が「昼下がりの情事」なのかと考えると、ちょっと納得いかない感がある。アリアンヌは清純キャラだから、「情事」というのがひっかかるのです。

87 よくできていた。
邦題 CRASH LANDING クラッシュ・ランディング  勝敗 邦題の勝ち 
原題 CHECK-IN TO DISASTER
出演 ユルゲン・レーマン イザベラ・パーキンソン 監督 ウーヴェ・フリースナー 2002年
砂漠に緊急着陸した航空機の生存者たちの、生還までのお話。ケープタウン空港を飛び立ったカイロ行きの臨時便が、整備不良のためエンジンが故障して砂漠の真ん中に胴体着陸。機体は大破。機長が燃料節約のためスーダン上空へと飛行路を変更していたために、レーダーでは探知不能。機長は意識不明だし周囲は地雷原、通信機は壊れている。子供もいるし妊婦もいるし護送中の殺人犯もいるし……。問題山積。うーん。どうやって生還するんだろうっ。不時着時のCGはなかなかいいです。サバイバルでの諍いや人間模様も適度に深くて(深すぎないってことです。変に登場人物の内面や過去や人間関係を描きすぎていない)良かったと思う。高所閉所恐怖症の青年の成長もみられました。原題は「災厄へのチェックイン(搭乗手続き)」ですかね。邦題が「CRASH LANDING」(「緊急着陸」)。どちらもいいと思うけど、日本向けタイトルで緊張感もあるので邦題の勝ち。

88 美女でジコチュー、困るね。
邦題 ノー・グッド・シングス 勝敗 邦題の勝ち 
原題 NO GOOD DEED
出演 サミュエル・L・ジャクソン ミラ・ジョヴォヴィッチ ステラン・スカルスゲールド ダグ・ハッチソン 監督 ボブ・ラフェルソン 2002年
強盗団の隠れ家にうっかり踏み込んでしまった刑事のお話。窃盗課の刑事ジャック(サミュエル・L・ジャクソン)は知人から、家出した娘を捜してくれと頼まれて、心当たりの地域に聞き込みにいく。一軒の家の前で老婆の手助けをしたことから、その家に入り込むと、そこは強盗団のアジトで、老夫婦も仲間だった。リーダーのタイロン(ステラン・スカルスゲールド)、タイロンの情婦エリン(ミラ・ジョヴォヴィッチ)、フープ(ダグ・ハッチソン)が、ジャックの捜査対象が自分たちだと勘違いしたため彼は捕らえられてしまう。自由とお金の欲しいエリンが、フープや銀行員のデビッドを操って、タイロンからなんとか逃げ出そうとしているところにジャックという要素が入り込んできたので、いろいろと込み入ってくる。エリンの行動にちょっと理解できない部分があるのだけど、全編、けっこうドキドキだった。原題と邦題は一語違うだけなのだけどDEEDは「行為」、シングスがTHINGSだとすると「成り行き、事件」で、少し感じが違ってくる。ジャックが巻き込まれたのは成り行きだから、邦題の勝ちで。 

89 アメリカの家の壁ってあんなに厚いの? あれならジェリーが走り回れるわけだ。
邦題 壁の中に誰かいる  勝敗 原題の勝ち
原題 THE PEOPLE UNDER THE STAIRS 
出演 ブランドン・アダムス エベレット・マクギル ウェンディ・ロビー A.J.ランガー 監督 ウェス・クレイブン 1991年
ひどい児童虐待のお話。アパートを追い出されそうになったポインデクスター(通称フール)(ブランドン・アダムス)少年は、因業な家主の家に盗み目的で忍び込み、その家の地下室で不気味な人々を目撃。さらに、壁の中を走り回る何者かもいるし、おびえた少女も発見。彼らは、家主である男女(夫婦とみえたが、実は兄妹。別に、近親相姦というわけではないらしい)(エベレット・マックーギル、ウェンディ・ロビー)に赤ん坊の時にさらわれてきたらしい。理想の子供を育てようとした兄妹だが、子供は大人の思い通りには育たない。それで怒った兄妹は彼らの舌を切り取って、地下室に閉じ込めているのだ。一人だけが逃げ出して、壁の中に住んでいる。少女アリス(A.J.ランガー)は、兄妹の理想である三猿(見ざる言わざる聞かざる)を守っているため無事に生きていられたのだ。……すごい。何だかわからないお話だ。命からがら逃げ出して、アリスを救うために警察に通報するフール。でも、仲間が2人も男に殺されて、目の前で切り刻まれたというのに、警察への通報は「子供が虐待されています」。殺人で通報したら、窃盗目的の家宅不法侵入がばれちゃうからかな。きっとそうだね。邦題のほうがサスペンス感があるけど、内容はサスペンスという感じでもホラーという感じでもないし、壁の中の人物はすぐに出てきてしまうから、「地下室の人々」というなんてことない題だけど、原題の勝ち。上の欄の「ジェリー」は、もちろん、「トムとジェリー」のねずみのジェリーです。

90 片手ポケットはお行儀悪い。
邦題 ブラック・ダイヤモンド 勝敗 邦題の勝ち
原題 THE CRADLE2 THE GRAVE 
出演 ジェット・リー DMX マーク・ダカスコス アンソニー・アンダースン ケリー・ヒュー 監督 アンジェイ・バートコウィアク 2003年
ひょっとしたらエネルギー革命では、という代物である黒いダイヤモンドをめぐるお話。泥棒チームのリーダー、フェイト(DMX)は、依頼されてブラック・ダイヤモンドを盗んだが、依頼主はリン(マーク・ダカスコス)に殺され、娘も誘拐されてしまう。ブラック・ダイヤモンドと引き換えだと言われるが、ダイヤモンドは地元のギャングに奪われてしまった。ブラック・ダイヤモンドを追っている台湾の捜査官スー(ジェット・リー)と組んで、ダイヤと娘を取り戻すための行動を始める。ブラック・ダイヤモンドというのは、実は人工プルトニウムで、そのままなら不活性で安全だが、レーザー光線で活性化すると計測不能なまでのエネルギーを発するようになるというもの。台湾で開発されたものをリンが持ち出したのだ。スーは強い。めちゃめちゃ強い。並みの相手なら、左手はポケットにつっこんだままでボコボコにしてしまう。小柄なジェット・リーが強いところが気持ちいい。対するリンも強い。めちゃめちゃ強い。二人の対決は見ものです。原題の「THE CRADLE2」の2って、1があるということなのでしょうか。よくわからないので邦題の勝ち。

91 これはロマン!
邦題 ハエ男の恐怖  勝敗 邦題の勝ち
原題 THE FLY
出演 アル・ヘディソン パトリシア・オーウェンズ ヴィンセント・プライス 監督 カート・ニューマン 原作 ジョルジュ・ランジュラン 1958年
物質転送機の実験失敗で、ハエと混ざってしまった科学者の悲劇のお話。科学者のアンドレは、物質転送機を完成させたが、自身を転送する実験時にボックス内にハエが紛れ込み、混ざってしまう。頭が巨大なハエのハエ男になってしまったアンドレは、次第に人間性を失っていく自分を恐れて、妻に協力させて自殺する。ああ、悲劇! が! このお話の本当の悲劇は、ラストにある。ハエと人間の混ざった生物はハエ男だけではなかった。体がハエで小さな人間の頭がついた男バエもできていた。男バエは哀れにも蜘蛛の巣にかかってしまい、彼の小さなHELPの声は誰にも届かなかった……。悲しいラストです。合掌してしまいました。見ている人の恐怖よりもハエ男と男バエが感じていたであろう恐怖のために、邦題の勝ち。 

92 因果はめぐる糸車? 
邦題 ハエ男の逆襲   勝敗 邦題の勝ち
原題 THE RETURN OF THE FLY
出演 ヴィンセント・プライス ブレット・ハルゼイ 監督 エドワード・L・バーンズ 1959年
父アンドレの研究を受け継ぐ決心をした息子フィリップが、またハエ男に……。父の死から5年がたち母が死亡。成長した息子フィリップは封印されていた父の研究室をあけ、伯父の反対を押し切って物質転送機を製作する。が、協力者と思っていたアランは、実は国際手配されている悪人で、転送機の設計図を他企業に売ろうとしていたのだ。自分の正体がばれると、アランはフィリップを殴って転送機に押し込み、わざわざハエをつかまえて一緒に入れてしまう。混ざることを知りながら! ひどい男だ。そして、フィリップとハエはハエ男と男バエに! 何回やっても同じ混ざり方をするのは驚きだけど、もっと驚いたのは、ハエ男と男バエを再び一緒に入れて分解→再生すると、フィリップとハエに戻ったってこと。前作が邦題の勝ちだから、これも邦題の勝ち。  

93 ドイツ映画だというところがすごい。
邦題 es 勝敗 邦題の勝ち
原題 DAS EXPERIMENT
出演 モーリッツ・ブライブトロイ ユストゥス・フォン・ドーナニー クリスティアン・ベッケル 監督 オリバー・ヒルシュビーゲル 2001年
怖い心理学実験のお話。元記者で現タクシー運転手のファハト(モーリッツ・ブライブトロイ)は、大学が募集していた心理学実験の被験者に応募する。メガネにしこんだカメラで実験を撮影し、特ダネにしようというのだ。実験は20人の男たちを囚人役12人、看守役8人に分けて、2週間の間、刑務所そのままに生活させて変化をみようというものだった。和気あいあいと楽しく始まった実験だが、看守と囚人という立場の違いが、各々の心の底にある何かを刺激して、次第に彼らは変化していく。そして、ついに恐ろしいことが起こり始める。怖い。見ていてドキドキした。取材目的のファハトが、わざと挑発的態度に出るということがなかったら、変化はもっと穏やかだったかもしれないなとは思うけど、確かに、人は立場によって気持ちが変化するし態度も変わる。自分が歩行者の時は車の横行に腹をたてるけど、運転している時には歩行者や自転車にどいてほしいと思うことってあるもんね。邦題は心理学で使われるらしいドイツ語で、無意識の中の特に原始的な部分のことだと思う。原題は「実験」。ただの実験よりは心理学の実験ということで邦題の勝ち。ただし、内容と邦題が心理学的に正しく合っているのかどうかは、私にはわかりません。

94 スポーツエリートの皆さん、気をつけましょう。 
邦題 プール 勝敗 原題の勝ち 
原題 SWIMFAN 
出演 ジェシー・ブラッドフォード エリカ・クリステンセン シリ・アプルビイ ケイト・バートン 監督 ジョン・ポルソン 2002年
高校水泳部のホープが、怖い女の子に浮気心をおこしたおかげでひどい目に遭うお話。ベン(ジョゼ・ブラッドフォード)は水泳部の花形で、大学のスカウトからも注目され、かわいい恋人エイミー(シリ・アプルビイ)ともうまくいっていて順風満帆。が、好事魔多し。転校してきたマディソン(エリカ・クリステンセン)に惹かれて、浮気のつもりで一度だけ付き合ったら、翌日からマディソンにつきまとわれる羽目になる。マディソンの執着は普通ではない。以前に付き合っていた大リーグ入り確実と言われたジェイクが、交通事故で昏睡状態になったために、新しいスポーツエリートを探して、ベンを見つけたらしい。スポーツエリート大好き少女なんだね。おかげでエイミーは車にはねられたり、プールに突き落とされたり命を狙われるし、水泳部のジョシュは殺されてしまう。ベンが浮気をしなくてもマディソンの行動は変わらなかっただろうと思うけれども、軽々しいことはしないほうがいい。編集が少し変なところがあったりするのが気になった。原題はマディソンがベンに送ってきた何十通ものメール(マディソンのエッチ画像付き)のハンドルネームで水泳(この場合はベンのこと?)の熱烈ファンという意味かな。邦題は面白みがないので原題の勝ち。 

95 CG、考えて使おうよ。 
邦題 クリムゾン・アイランド  勝敗 原題の勝ち 
原題 PINATA/SURVIVAL ISLAND 
出演 ニコラス・ブレンドン ジェイミー・プレスリー 監督 デヴィッド/スコット・ヒレンブランド 2002年
お気楽大学生のグループがゲームで訪れた無人島でえらいものを見つけてしまったお話。まず言い伝えから。中央アメリカのマガーニョ村で、昔、呪術師がピニャータと呼ばれる素焼きの人形に邪気を封じ込めて河に流し、村は災厄から免れるようになったという。このピニャータを割ると邪悪なものが解き放たれてしまうらしい。現代。メキシコ独立記念日の行事の一環として、ウッドマン大学の学生グループが無人島に恒例の宝探しゲームをしにやってくる。男女2人が手錠でつながれ、島じゅうに置かれた下着を集めるという、どうしようもないゲーム。そのうち1組が水辺で1体のピニャータ人形をみつけて叩き割る。ピニャータというのは、メキシコでお祭りの時などに厄払いに使われる人形で、中にお菓子などが入っている。これを紐でつるして、子供が目隠し状態で西瓜割りのように順番に棒で叩き割る。災厄を割って、中に入っている幸運を手に入れるという感じかな。だから、お気楽な大学生も何のためらいもなく人形を割った。が、それは、昔々、マガーニョ村の呪術師が邪気を封じ込めて流したピニャータだったらしい。当然、ピニャータは邪悪な意思を持って活動を始める。次々に大学生たちを血祭りにあげていく。殺すごとにパワーアップ。ついには、いきなり顔だけ巨大になったり、下半身が火の玉みたいな形になったり、飛んだり跳ねたり、すごいことになる。CG、やりすぎでしょう。最後はなぜか爆発するし。ラスト、生き残った学生3人が、翌日来た捜索隊に、何があったのかと聞かれて、一瞬顔を見合わせ返答に窮するところが良かった。そこだけ妙にリアル。邦題は「深紅の島」。ピニャータという厄除け人形が重要なので、原題の勝ち。  

96 ヌラヌラしていない宇宙人がいいなあ。 
邦題 アライバル ファイナル・コンタクト  勝敗 原題の勝ち 
原題 ALIEN HUNTER
出演 ジェームズ・スペイダー カール・ルイス ジャニーン・エーザー ジョン・リンチ 監督 ロン・クラウス 2003年
宇宙人とのコンタクトのお話。南極の資源研究所で発見された謎の物体を調査するために、元SETIメンバーのジュリアン(ジェームズ・スペイダー)は南極にやってくる。氷に覆われた物体は、何かのカプセルで、研究所の職員があけようとする。が、物体から発せられていた信号を解読していたジュリアンは、それが「DO NOT OPEN」(開けるな)であることをつきとめるが、時すでに遅し。カプセルの中にいたのはエイリアンで、彼らは、地球の生物には致命的となるウイルスの保菌者だったのだ。なんと、1974年ロズウェル事件で、それは明らかになっておりアメリカ政府関係者だけが知っていた。エイリアンは地球との交渉を求めていたが、地球側が断っていたのだ。うーん。ウイルスの研究はしなかったのかな。防護服みたいなのを着ていても駄目だったのかな。惜しいことしたよね。でも、13人の職員のうち、爆発事故で2名死亡、4名がウイルス感染で死亡したけど、7名は耐性があって何でもなかった(保菌者になってしまったため外には出られない)ってことは、希望はあったんじゃないかなあ。核ミサイルで研究所ごとふっとばすなんて、せっかちすぎる。原題は「HUNTER」を探求者という意味とすればOKかも。普通にハンターっていうと狩人で、なんで宇宙人を狩るんだろうってことになってしまうけど。   

97 ノーチラス号大きいわー。 
邦題 リーグ・オブ・レジェンド   勝敗 邦題の勝ち
原題 THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN 
出演 ショーン・コネリー(アラン・クォーターメイン) ペータ・ウィルソン(ミナ・ハーカー) ナサーラディン・シャー(ネモ船長) ショーン・ウエスト(トム・ソーヤー) ジェイソン・フレミング(ジキル博士とハイド氏) マックス・ライアン 監督 スティーヴン・ノリントン 2003年
物語の主人公たちがチームを組んで悪を倒すお話。19世紀の最後の年、ファントムと名乗る謎の人物がヨーロッパに出現。冒険家のアラン・クォーターメイン(ショーン・コネリー)の元に英政府の使者と名乗る男が来て、世界を救ってくれというようなことを言う。クォーターメインのほかに、ノーチラス号のネモ船長、透明人間のスキナー、吸血鬼のミス・ハーカー、不死身の男ドリアン・グレイ、ジキル博士、それに米CIAのトム・ソーヤーが加わって、ファントムに対抗するためベニスに向かうが、思わぬ真実が明らかになる。けっこう楽しい作品。ネモ船長が強い。邦題は「伝説同盟」というところかな。原題は「非凡な紳士たちの同盟」。邦題のほうがピンとくるからこっちの勝ち。 

98 わからん。
邦題 撃鉄 GEKITEZ ワルシャワの標的  勝敗 原題の勝ち 
原題 THE FOREIGNER 
出演 スティーヴン・セガール マックス・ライアン アンナ=ルイーズ・プロウマン 監督 マイケル・オブロウィッツ 2002年
陰謀の証拠が入った小包を巡る裏切りと殺人と込み入った契約関係のお話。FOREIGNER(異邦人)と呼ばれるエージェントだった男ジョナサン・コールド(スティーヴン・セガール)は、現在はフリーの国際スパイ。マルケという男に雇われて荷物の運び屋をやるが、相棒のデュノワ(マックス・ライアン)はあちこちから同時に雇われている裏切り男だし、荷受人の妻メレディス(アンナ=ルイーズ・プロウマン)は夫から逃げるために荷物を狙っているし、荷受人のドイツの大富豪は実は死の商人だし、父の同僚だったオリファントはワルシャワのCIA職員だけど大富豪の相方だし、殺し屋は来るし、CIAは来るし、デンマーク人には襲われるし、いったい、誰が誰に雇われているのか、そもそも、荷物は誰が誰に送った物で誰が奪おうとしていたのか、ちーともわからんかった。クールで孤独なスパイの人生を描きたかったのかな。邦題、長すぎ。   

99 これからだって起こりうる危険なわけだね。 
邦題 アンドロメダ  勝敗 原題の勝ち 
原題 ANDROMEDA STRAIN 
出演 アーサー・ヒル デヴィッド・ウェイン ジェームズ・オルソン ケイト・リード 監督 ロバート・ワイズ 原作 マイクル・クライトン 1971年
未曾有の地球の危機! のお話。ニューメキシコ州の小さな町付近に墜落した衛星を回収にきた軍関係者2人が町に入ると、人間も動物も死んでいる。彼らも、驚きの声を残してあっという間に死亡。緊急事態コードネーム、ワイルド・ファイヤが発動され、科学者たちが砂漠地下に作られた秘密施設に召集される。衛星が宇宙から運んできた細菌によって、地球は危険にさらされてしまうわけで、その細菌(ANDROMEDA STRAIN)の科学的特性や弱点を探るための、4人の科学者(内1人は医者)の奮闘を描いている。秘密施設の構造や、深い階層に行くために殺菌していく過程などがリアル。1971年製作の古さは否めないけど、原作に忠実にがんばっていると思う。冒頭の、衛星回収のため町にはいった2人からの無線連絡のみによる異変の報告描写は興奮ものだった。原題は作中では「アンドロメダ菌株」と訳されていたようだ。原作小説の邦題は「アンドロメダ病原体」。私としては、小説の邦題がいいと思うなあ。映画の邦題は、ただのアンドロメダだと、普通想像するのはアンドロメダ星雲やギリシャ神話のアンドロメダ姫、または、アニメ「オタスケマン」のアンドロメダマ号(これはない?)だと思うので、原題の勝ち。   

100 どうしろと……。 
邦題 乱気流/ファイナル・ミッション  勝敗 邦題の勝ち 
原題 SONIC IMPACT
出演 ジェームズ・ルッソ マイケル・ハリス アイス・T メル・ハリス 監督 ロドニー・マクドナルド 1998年
凶悪犯に乗っ取られた飛行機のお話。FBI捜査官のニック(ジェームズ・ルッソ)は、3年も追い続けた犯罪者バレット(マイケル・ハリス)をようやく逮捕。移送のためタジャ捜査官(アイス・T)に引き渡す。他の犯罪者2名もいっしょに飛行機で移送するが、乱気流で揺れたすきにバレットは捜査官から銃を奪い、飛行機をハイジャック。撃ちあいで操縦席の酸素タンクが爆発。コックピットには大穴。機長死亡。エンジンは不調。ニックは空軍の協力を得て、コックピットの大穴から機内に侵入する(可能か……?)。邦題は、航空機パニックもののお約束なのかな。原題は「超音速の衝撃」? どのへんが超音速または音速で、どのへんが衝撃だったのかよくわからない。邦題もなんだかしょうがないなあって感じだけど、どうしようもないから邦題の勝ち。     
もどるくん ページトップへ

次のページへ

前のページへ

表紙に戻る