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ちょこっと 言いたい「邦題」 ページ6
注意:ネタばれあります。
コレを読んで、その映画が見たくなるというような効果はありません。
比較は、原題をそのままか直訳か意訳したとして、その意味が邦題とどっちが内容にあっているかなというものです。
英語(もちろん、その他の外国語も)は全然わかりませんので辞書頼み。勝敗の基準は『banbanの主観』です。異論があっても我慢してください。

ほぼ同映画(邦題と原題が同じ、または、ほぼ同じ)の感想はこちら
邦題で映画索引//不完全人物ノート俳優編監督編
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101 つぎはぎイメージ。 
邦題 エグゼクティブ・コマンド  勝敗 決められん 
原題 STRATEGIC COMMAND 
出演 マイケル・ダディコフ ポール・ウィンフィールド リチャード・ノートン アマンダ・ワイス 監督 リック・ジェイコブソン 1997年
化学兵器を持ったハイジャックチーム vs FBI捜査官と空軍の精鋭チームのお話。FBI化学研究所から、空気に触れると猛毒を発する液体が大量に盗まれた(どこかで見た強奪シーンだ)。犯人はグルーバー(リチャード・ノートン)率いるテロリスト一味で、彼らは副大統領のチャーター機をハイジャックし、政治犯の釈放と大金を要求する。FBIのリック(マイケル・ダディコフ)は、空軍の精鋭チームと組んで、ステルス機でチャーター機に近づき、ひそかに乗り移る(どこかで見たコバンザメ作戦だ)。戦いの末、グルーバーの持っていた液体の袋が破裂、猛毒がリックを包む。15秒以内に首の後ろに注射すれば助かる解毒剤を、リックは叫びながら注射し(どこかで見た……)、からくも助かる。邦題は「大統領指令」という意味か? 原題は「戦略指令」? なんとなく似ている雰囲気の作品で、「エグゼクティブ・デシジョン」というのが1996年にあった。これが「大統領命令」だと思うので、それっぽい邦題になったのかな。似たような意味なのだけど、わざわざ違う単語を使っているのがよくわからないです。

102 力作じゃーん! 
邦題 リベリオン 反逆者  勝敗 邦題の勝ち 
原題 EQUILIBRIUM 
出演 クリスチャン・ベール エミリー・ワトソン テイ・ディッグス ショーン・ビーン 監督 カート・ウィマー 2002年
近未来の娯楽もない世界のお話。21世紀初頭に起きた第3次世界大戦で大反省した人類は、戦争を防ぐためには人間の持つ憎悪などの感情が問題だというファーザー率いるテトラ・グラマトン政党の方針に従い、感情を抑制する薬プロジアムを毎日定期的に注射するようになる。そのため、人々は憎悪や恐怖のないかわりに、愛情や喜びといった感情もなくなってしまった。注射を怠り感情を発露させた者は違反者として即刻逮捕処刑、感情を誘う芸術品、装飾品は没収のうえ焼却。それを取り締まるクラリックと呼ばれる取締官がいる。ジョン・プレストン(クリスチャン・ベール)はクラリックの中でもエリートの1人だが、パートナーのパートリッジ(ショーン・ビーン)は違反者で、プレストンは彼を射殺する。プレストンは、ある日薬を誤って失ってしまい、その後、感情に目覚める。逮捕した違反者のメアリ(エミリー・ワトソン)に恋愛感情を抱いたり、押収された彼女の所持品がいとおしくてこっそり盗んだり、殺されそうになる子犬を助けたり……。感情があるのに、クラリックの任務を続けるのはとっても大変そう。クリスチャン・ベールの抑えた演技が(感情のないふりをしているんだから抑えてるに決まっているけど)いいよ。感情に目覚めてメアリの処刑に悲しんだりするけど涙を流すシーンがないところが良かった。ガン=カタ・アクションがかっこいい。なぜだか日本刀持っていたり剣道の防具つけてたりするし。邦題はそのとおり「反逆」という意味。原題は「平衡、平静」で、作中では役所の名前らしい。わかりやすから邦題の勝ち。DVDのガン=カタ解説おもしろかった。それにしても、芸術や文学ばかりか音楽も装飾品もコンピューターゲームもだめな、娯楽のなーんにもない世界はいやだー。 

103 さすが中国3千年。 
邦題 ブルー・エンカウンター  勝敗 原題の勝ち 
原題 衛斬理之藍血人 
出演 アンディ・ラウ ロザムンド・クワン スー・チー ロイ・チョン 監督 アンドリュー・ラウ 2003年
凶悪な寄生型異星人から、地球を守るお話。国連の秘密機関AAA(地球外生物分析局)の職員ウェズリー(アンディ・ラウ)は、ある日、不思議な美女フォン・ティンガイ(ロザムンド・クワン)と出会う。彼女は、オリオン座近くにある青の星から来た異星人。凶悪な寄生型異星人ワーロックに故郷の惑星を侵略されたため、先祖が宇宙のどこかに残した力の聖典を探すため弟と共に旅に出て、聖典発見後、地球近くで流星に衝突、地球に墜落したのだ。以来何百年も人間として地球で生活しながら行方不明の弟を探していた。地球には100年ほど前から異星人が入り込んでいて、FBIにも対異星人チームができている。ケイワイ(ロイ・チョン)とソウ(スー・チー)兄妹はチームの一員(注・お話の舞台はサンフランシスコ。後半は香港だけど)。ウェズリーとティンガイは年の差も出身惑星の違いも乗り越えて愛し合うようになるけど、凶悪寄生型異星人ワーロックが聖典を求めて追ってくる。ワーロックは寄生虫の集合体みたいなヤツで、とうとうウェズリーの体内に入り込んでしまう。あやうしウェズリー! そこで、ヤツらを誘導するために使われるのがツボ。体の経絡というもの。エネルギー体となったティンガイが「気海」「たん中」と指示すると、ウェズリーは自分で自分のツボを押しまくり、寄生虫を誘導して口からペッと吐き出す。すごい。さすが中国3千年の歴史(4千年とか5千年とかいろいろですが、気になる方は「中国歴史あら? カルト!」内「それ行け!中華探偵団」をご覧ください)。他はともかく、ここはこの作品のオリジナルかもしれません。原題は読み方も意味もわかりませんが、邦題「青い遭遇」より字面がいいので原題の勝ち。   

104 楽しく見終ったんだけど。 
邦題 ミニミニ大作戦  勝敗 邦題の勝ち 
原題 THE ITALIAN JOB 
出演 マーク・ウォールバーグ シャーリーズ・セロン エドワード・ノートン ジェイソン・ステイサム ドナルド・サザーランド 監督 F・ゲイリー・グレイ 2003年
ミニクーパーがかっ飛ぶお話。金庫破りのプロ、ジョン(ドナルド・サザーランド)はチャーリー(マーク・ウォールバーグ)らと組んで大仕事を見事に成功させ金塊を手に入れるが、スティーヴ(エドワード・ノートン)の裏切りで命を落とす。1年後、ジョンの娘ステラ(シャーリーズ・セロン)の元にチャーリーが現れ、スティーヴの居所がわかったので1年前に奪われた金塊を取り戻すために力を貸してくれと言う。一度は断るステラだが、父の無念を晴らしたい気持ちは捨てきれず承諾する。/奇想天外な作戦を考え出すリーダーと、それを実行できる実力のある仲間たちというのは好きなタイプのお話です。ミニクーパーが3台縦に連なってかっ飛ぶところは実にカワイイ。最後は、ステラがスティーヴに怒りの鉄拳をくらわして、気持ちよく終わる……はずなのだけど、なんとなく、すっきりしない。スティーヴは自らの悪行の報いを受けるので仕方がないのだけどなあ。で、なんでなのか考えてみたのですが、エドワード・ノートンが悪役に見えないせいじゃないかと思ったのです。少なくとも、ヒゲは似合っていない。原題は「イタリアの仕事」。最初の大仕事の場所がイタリアのベニス。イタリアでの仕事が1年後のロサンゼルスで完結したということなのでしょうか。1969年の作品のリメイクのようで、その時の邦題も「ミニミニ大作戦」。ミニクーパーがとにかくかわいいので邦題の勝ち。

105 見るたびに泣ける。 
邦題 忘れられない人  勝敗 原題の勝ち 
原題 UNTAMED HEART 
出演 クリスチャン・スレーター(アダム) マリサ・トメイ(キャロライン) 監督 トニー・ビル 1993年
薄幸な青年の純愛のお話。孤児で、先天的に心臓に欠陥を持つアダムは、人と接するのが苦手で無口な青年。食堂の下働きをしているが、ウエイトレスのキャロラインをひそかに愛している。ストーカーまがいのこともしてしまうけれど(いや、まがいというよりストーカーそのもの)、そのおかげでキャロラインはレイプされそうになったところを助けられる。アダムの純粋な愛情に、キャロラインも彼を愛するようになり……。/こう書くと、オイオイってくらいの純愛物語。でも、ベタでもなんでもいいですよ。泣きましたとも。クリスチャン・スレーター、良かったし。最後は死んでしまうんだなー、とわかっていたけど泣きました。っていうか、わかっていると、よけい泣けます。孤独で不安で、満たされなかったアダムの、最後の日々の幸せそうな様子を見ると、ラストがわかっている分だけ泣けます。2回は見ましょう。原題は「ありのままのハート(心臓)」という感じで、心臓にこだわっていた青年(ヒヒの心臓が胸に入っていると幼い頃に聞かされた話を信じていて、キャロラインを思うと胸が痛むのは心臓が愛を感じているからだと理解していたようで)の気持ちをあらわそうとするタイトルだと思うので原題の勝ち。邦題はキャロラインの側からのタイトルだと思うので。たしかに、あれだけ純粋に愛されたら忘れられなくなるとは思うけど。 

106 口の中、ジャリジャリだろうね。 
邦題 略奪者  勝敗 邦題の勝ち 
原題 SUERS 
出演 ジャン=ユーグ・アングラード(ハーヴェイ) ヨアキム・デ・アルメイダ(ノア) シリル・トーヴナン(ヴィクター) サガモール・ステヴナン(シモン) 監督 ルイ=パスカル・クーヴレール 2003年
砂金を強奪した4人の男たちの顛末、のお話。砂漠を爆走するトラックに、4人の男たちが乗っている。ノア、ハーヴェイ、ヴィクター、シモンだ。4人は砂金を強奪してきたところで、砂漠を越えて干潮時に海岸にたどり着けば、取引に来た船に砂金を売ることができる。海岸沿いには機雷がたくさん浮いていて、干潮時以外には船は陸地に近づけないらしい。おまけに、砂漠には地雷原。4人の男は、それぞれひとくせあり、まずハーヴェイが気の合わないシモンを殺して3人に。ハーヴェイを邪魔に思うノアは、ヴィクターを丸め込んで味方にし、ハーヴェイを砂漠に置き去り。地雷原に詳しい娘を途中から乗せて道案内させる。が……。/別のトラックで追いかけてきたハーヴェイとノアの一騎打ちが、犬の呼び合いってところはおもしろいね。画面画面がスタイリッシュに決まっている。ただ、ずーっと砂漠を突っ走るお話なので、なんだか喉がかわくし口の中に砂が入ったような気分にもなる。見る時には、冷えたコーラが必須かも。原題はフランス語。SUERは「汗」らしい。確かに、暑い砂漠で男たちは汗まみれ砂まみれだったけど、略奪者というタイトルのおかげで、彼らが砂金を強奪してきて逃げているんだとわかったので邦題の勝ち。

107 信仰心ってそんなもので揺らぐのですか。 
邦題 抹殺者  勝敗 原題の勝ち 
原題 THE BODY 
出演 アントニオ・バンデラス(グティエレス神父) オリビア・ウィリアムズ(ゴールバン) 監督 ジョナス・マッコード 2000年
もの言わぬ古代の遺体が引き起こす大騒動、のお話。エルサレムで2000年前の遺体が発見された。埋葬の様子、遺体(白骨)の病理所見などから、キリストの遺体ではないかと思われた。磔のあと、復活して昇天したとされるキリストの遺体だとしたら、キリスト教世界には大打撃。それを見越して、バチカンと政治的な取引をしようとするイスラエルやパレスチナの男たち。発見者のゴールバンは、ただ科学的な態度で臨みたいと思うが巻き込まれていく。バチカンから、真偽を確かめるよう依頼された元情報部の神父グティエレスは、自らの信仰が揺らぎそうで恐怖を感じる。考古学者で神父のラバーンは、ショックで自殺してしまう。/科学と宗教は両立しないものなのでしょうか? 信仰心のない私にはどうも理解しがたい。邦題は、最後、墓を爆破して何もなかったことにしてしまった人々の態度が"歴史の抹殺者"だと言いたいのかもしれないけど、ただ横たわるだけの遺骸(BODY)によって、生きている人々の思惑が左右される皮肉(実はキリストではなかったらしい。それも皮肉)が感じられるから原題の勝ち。

108 滑る滑る。吹っ飛んでまた滑る。 
邦題 EX エックス  勝敗 邦題の勝ち 
原題 EXTREME OPS 
出演 ルーファス・シーウェル(イアン) デヴォン・サワ(ウィル) ジャナ・パラスキー(キティ) ブリジット・ウィルソン=サンプラス(クローイ) 監督 クリスチャン・デュゲイ 2002年
スキーやスノボで滑りまくるお話。ちょっぴりテロリストとのアクションも。ビデオカメラのCM(メーカーは日本らしい)を撮るために、雪山のてっぺんにやってきた製作会社のスタッフたち。が、偶然にも事故死を装って隠れていたテロリストを撮影してしまい、命を狙われる羽目になる。/いやいや、ストーリーなんてどうでもいいのですよ。テロリストの機関銃バリバリも添え物でいい。クレイジーな撮影、クレイジーな滑走、見ていてスカッとしました。あれなら、すごいCMができたでしょう。ちょっとだけ言うと、崖から落ちそうになるシーンは、もう少し手間とお金かけたかったかなあー。原題は、気分としては「ぶっとびオペレーション」と訳したいけど、邦題かっこいいからこっちの勝ちで。 

109 堅物でも何でも、罠には注意。 
邦題 逃亡犯  勝敗 原題の勝ち 
原題 QUICKSAND 
出演 マイケル・キートン(レイクス) マイケル・ケイン(ジェイク) ジュディット・ゴドレーシュ(レイラ) 監督 ジョン・マッケンジー 2002年
堅く生きていても落とし穴があるというお話。フランスに、不正送金を調査にきたアメリカの銀行の調査官が、賄賂の受け取りを拒否したとたん、地元の警察署長殺害の犯人として追われる羽目になる。/真面目で堅物で仕事一筋だったために離婚までされてしまったレイクスだけど、追われるようになってからはなかなかの融通性と機動性を発揮する。でも、正直に言うと、見終わってから、主人公が鳥っぽい雰囲気だなあと思ったことしか印象にないです。動きとか横顔とか……。すみません。原題は「流砂」のことで、油断もすきもない状態を指すらしい。「逃亡犯」はズレていると思う。 

110 心残りがあるって辛いね。 
邦題 コーリング  勝敗 邦題の勝ち 
原題 DRAGONFLY 
出演 ケビン・コスナー(ジョー・ダロウ) スザンナ・トンプソン(エミリー・ダロウ) キャシー・ベイツ(ミリアム・ベルモント) 監督 トム・シャドヤック 2002年
医師のジョーは、妻エミリーを南米のバス転落事故で亡くして失意の日々。エミリーは生前、来世ではトンボ(DRAGONFLY)になってジョーの周りを飛び回りたいと言っていたが、ジョーの周囲にトンボやトンボに関する物が次々と現れるようになる。エミリーからのメッセージだと感じたジョーは事故現場に向かう……。/死者と生者のあいだの障害を乗り越えても伝えたいメッセージってあるのだろうなあと思います。キャシー・ベイツが存在感ある。原題は「トンボ」。邦題は呼び声とかそういう意味なのでしょうか。そういう意味なら、妻からのメッセージを必死に解読しようとするジョーが良かったので、邦題の勝ちで。 

111 悪趣味。 
邦題 デッドコースター  勝敗 原題の勝ち 
原題 FINAL DESTINATION 2 
出演 A.J.クック(キンバリー) アリ・ラーター(クレア) マイケル・ランデス(トーマス) 監督 デヴィッド・エリス 2003年
「ファイナル・デスティネーション」の続編。前作で航空機が事故を起こしてから1年後、キンバリーは車を運転中に、事故で自分を含め多くの人が死ぬ場面を幻覚で見る。彼女は道路の真ん中に車を止め、おかげで幾人かが助かるが、一度死のリストに載った人間は死を免れることは出来ないという前作のルールが発動する。/気のせいか、前作よりも死の場面が悪趣味になっているような……。目に突き刺さったり、首がはさまったり……。それに、日常生活を送る中で思い出したくないこと(つまり、死はいつでも神出鬼没だということ)を思い出してしまうので、不快感があるのですけど……。邦題は、物語中、次々と襲ってくる死をジェットコースターになぞらえているのかもしれないけど、前作があるので原題の勝ちに。  

112 どこに住んでも、人間の町には、まず娯楽かな。 
邦題 プルート・ナッシュ  勝敗 原題の勝ち 
原題 THE ADVENTURES OF PLUTO NASH 
出演 エディ・マーフィ(プルート・ナッシュ) ランディ・クエイド(ブルーノ) ロザリオ・ドーソン(ディーナ) ジョー・パントリアーノ(モーガン) 監督 ロン・アンダーウッド 2002年
人類が移住した月のドーム都市。元密輸王のプルート・ナッシュは足を洗って健全なクラブ経営をしている。が、そこへ、店を買収したいという男が現れ、断ると、店は爆破されてしまう。どうやら敵は誰も姿を見たことのない謎の黒幕クレイターらしい。ナッシュはロボットボディガードのブルーノと、偶然巻き込まれた新人ウェイトレスのディーナを連れてドーム都市から逃げ出す。/昔のSFドラマっぽい映像が妙にいい感じで、ストーリーも面白かったけど、それだけかな。これは予告編を失敗したんじゃないかと思うのだけど。予告編の映像見たら、誰がクレイターかすぐにわかってしまう。原題は「プルート・ナッシュの冒険」で、これも昔っぽいタイトルだから原題の勝ち。 

113 脱力。 
邦題 えびボクサー  勝敗 邦題の勝ち 
原題 CRUST 
出演 ケビン・マクナリー(ビル) ペリー・フィッツパトリック(スティーヴ) ルイーズ・マーデンボロー(シャズ) 監督 マーク・ロック 2002年
巨大えびをボクサーにしようとした男が人生における愛に開眼する。っていうか……。元ボクサーでうだつのあがらない中年男のビルが、2メートル超に異常生育したマンティズ・シュリンプという種類のえびをボクサーにしてTV局に売り込んで一儲けしようと思い立つ。が、TV局は相手にしない。あれこれ手を尽くして、ようやく話をとりつけるが、その頃にはビルはえびに愛情を抱いてしまい、見世物にするなんてとんでもないと思うに至る。/えびと人との感動の友情巨編ですよ。アハハー。予告編を作る人は偉い。えびが人間相手に、もっとボコボコにファイトする話かと思ってしまった。おもいっきりそういう話を期待していた。だから脱力。くだらない映画が好きだから、周囲の反対を押し切ってレンタルしてきたけど、見終わった直後は、レンタルしてきた事実をないことにしたいくらいだった。原題は「硬い外皮」のことで、たぶん甲殻類ってことなのでしょう。えびのリングネームもミスター・Cだったし。でも邦題のなんともいえないファンタジックな響きの勝ち。いや、この秀逸な邦題のせいで脱力しているわけだが。

114 何考えて作ってんだろう。 
邦題 エンバイロン  勝敗 あえて選ぶなら邦題 
原題 PARASITE 
出演 サスキア・グールド(ハンセン) コンラッド・ホワイテイカー(ミッキー) G.W.スティーヴンス(ジェイコブ) ニック・ロウリンソン(ライザー) 監督 アンドリュー・プレンダーガスト 2002年
閉鎖される海上石油基地の洗浄を行うために新しく開発された洗浄剤を使ったところ、濃度を間違えて使用。突然変異で怪物発生。嵐に閉ざされた石油基地に取り残された人々の運命やいかに! /って、まず最初に断っておくけれども、私はくだらない映画が好きです。B級映画大好き、アルバトロス映画大好きです。が、しかし、これは……。キャラクターの設定がふらふら。ジェイコブは責任感バリバリのリーダーかと思えば、危険な仕事なんだぞとメンバーを叱責した直後にパソコンの前で居眠りしている。パニックになって部屋にとじこもるし弱気になって過去の罪をザンゲし始めるし仲間を見捨てて逃げるし…あ、見掛け倒しってキャラで統一されているのかな。それから、場面場面がつながっていない。めだったところでは、脱出用ポッドのカウントダウンが残り11秒そこそこだったのに、主人公2人がモンスターを吹っ飛ばして石油基地も吹っ飛びかけて命からがらポッドにたどりついたら、まだ10秒前……って、1秒じゃ無理だって。時間ばかりか空間もゆがんでいるようで、環境保護グループが陸地からゴムボートで基地に来ていたように見えたけど(合図の花火を上げたのはいったい誰だったんだろう)、“絶海の孤島”状態の石油基地のはずなのに。彼らがゴムボートで来れるなら、洗浄作業班や責任者のハンセン博士は、何もヘリコプターで来る必要ないよね。それと、モンスター発生の理由付けは何でもいいけど、いったい何の生物が巨大化したのか、ちーっともわからなかった。陰にはライザーの陰謀があったらしいけど、その辺の事情もいまいちわからなかったヨ。邦題は「取り巻く」という動詞のようなので「環境」を表現したかったのかと思うけど、モンスターパニックだからなあ、いちおう。ストーリーが環境問題から端を発しているからと言えないことはないけど、苦しい。原題は「寄生」。劇中、ハンセンが、この生物は生き物に寄生するようだと言っていたけれども、殺された人間誰も寄生されていなかったので、これも苦しい。モンスターは勝手に基地内の鋼鉄の天井に卵を産んで、いつのまにかサナギみたいになって発生していたようだから宿主が必要な感じには見えなかった。語感で邦題の勝ち、かな。 

115 ヤクザのサム・ホン、遠大な計画をたてたものだなあ。 
邦題 インファナル・アフェア  勝敗 ? 
原題 無間道 
出演 アンディ・ラウ(ラウ) トニー・レオン(ヤン) アンソニー・ウォン(ウォン警視) エリック・ツァン(サム・ホン) 監督 アンドリュー・ラウ 2002年
マフィアのサムは、手下の若者数人を警官にするべく警察学校に送り込んだ。10年後、その中のひとりラウは優秀な刑事になり、警察の情報をサムに流す。一方、警察学校を素行不良で退学になったヤンはヤクザになっているが、実は潜入捜査官としてマフィアの情報を上司であるウォンに流していた。マフィアと警察は、互いに相手のスパイが入り込んでいることに気づき、洗い出しを始める。/それぞれ二重の顔を持つ2人の男は、自分の望むように生きたいと願いながらしがらみに巻かれて苦しむ。ストーリーも演技も秀逸だと思う。麻薬取引現場を押えようとする警察と裏をかこうとするマフィア、その陰でギリギリの状況で情報を流している2人。ドキドキだ。でも、警察に潜入しているラウはばれても逮捕くらいだろうけど、ヤンはばれたら命が危ない。なんだかちょっとヤンが不利すぎるような気がするなあ。恋人にもヤクザだからと嫌われて嘘つかれるし……。ラストショットのラウは良かった。タイトルはどちらも無間地獄のことみたいなので、「ほぼ同」なのかも。続編「インファナル・アフェア2」   

116 ちょっと物足りないかな。 
邦題 シャレード  勝敗 原題の勝ち 
原題 THE TRUTH ABOUT CHARLIE 
出演 マーク・ウォールバーグ(ジョシュア) サンディ・ニュートン(レジーナ) ティム・ロビンス(バーソロミュー) 監督 ジョナサン・デミ 2002年
1963年オードリー・ヘップバーン主演「シャレード」のリメイクだそうで。バカンスからパリに帰ったレジーナは、警察から夫のチャーリーが殺されたと知らされる。離婚寸前ではあったがショックを受けるレジーナ。しかも、警察によると、チャーリーはいくつもの名前と国籍のパスポートを持つ謎の人物だった。旅先で知り合った男ジョシュアが、ニュースで知ったといってレジーナをたずねてくる。が、ジョシュアも謎の人物。アメリカ大使館員のバーソロミューにチャーリーが元傭兵でアメリカ政府の金600万ドルを持ち逃げしたと聞かされてレジーナは混乱する。/白いコートのサンディ・ニュートンかわいいけど、オードリー・ヘップバーンの印象が強すぎてちょっと物足りないかも。マーク・ウォールバーグってあまりかっこよく見えないし(私には、です)。レジーナを狙う元傭兵の3人組と刑事も交えて、突然クラブで踊り始めるし、ラストでは窓の外でシャンソン歌い始めるし、後半、変だったね。原題はわざわざオリジナルの「CHARADE」じゃない題名「チャーリーについての真実」にしているのに邦題は「シャレード」かー。相応ってことで原題の勝ち。   

117 情愛があって、なかなか良かった。 
邦題 D&D 完全黙秘  勝敗 原題の勝ち 
原題 給父父的信(MY FATHER IS A HIRO) 
出演 ジェット・リー(クン・ウェイ) アニタ・ムイ(ホー刑事) シェ・ミャオ(クン・クー) 監督 コリー・ユエン 1994年
北京の公安警察潜入捜査官のウェイは、潜入捜査で香港に向かう。が、妻子にも身分を明かせないため、世間には悪人と思われており妻子は辛い日々を送る。病弱な妻は死んでしまい、のこされた息子クーは香港から来た女性刑事ホーとともに香港に渡る。が、ウェイを疑うギャング団のボスがクーを誘拐する。/仕事のためとはいえ、悪人として息子と別れなければならない場面が切ない。別れに残す言葉もなくて、肩越しに振り返って息子を見るウェイ。そのまま背中を向け歩き出すウェイ。ジェット・リーの背中がなかなかいいです。潜入先で妻の死を知ったウェイの悲しみも、誘拐された息子をみても素知らぬふりをする辛い場面もいい。けど、壮絶な闘いの末に、ラストで息を吹き返したクーを囲んで照れたように笑うウェイとホーのスリーショットは、ちょっと早すぎ。妻が不幸なまま死んで、まだ数日しかたっていないはずだからね、もうちょっと待とうね。それにしてもウェイも強いけど、クーがすごい。2人のコンビネーションがまたすごい。原題は「お父さんへの手紙」という意味らしい。劇中、クーが手紙を書いていたからね。英語題は「パパはヒーロー」。ちょっと軽めだけど、クーの心情を表していていい。で、邦題。「完全黙秘」ってどこが? ウェイが誰にも身分を黙っていたこと? まあ、それでも言葉としての意味はわかるから百歩譲っていいとして「D&D」っていったい何?  

118 これこれ。このくだらなさ加減がいい。 
邦題 アタック・ザ・マミー  勝敗 原題の勝ち 
原題 THE MUMMY THEME PARK 
出演 アダム・オニール(ダニエル) ホーリー・レニングハム(ジュリー) サイラス・エリス(族長ムスタファ) ヘレン・プリースト(ネクベト) 監督 アル・パッセリ 2001年
エジプト。地震で出来た地割れにより、地下に4千年前のマナウス四世の墓をみつけた族長ムスタファは、そこをミイラのテーマパークにしようと考えた。1ヵ月後のオープンを前に写真家を呼び宣伝用のスチールを撮らせることにする。テーマパークでは、マナウス四世のミイラを復元して脳(あるのかっ?)にコンピューターチップを埋め込み、それによってそれぞれの神経に刺激を送って歩いたり喋ったりさせるという。チップを活性化させるのは光の刺激で、アトラクションとして天井から取り入れた太陽光を反射させてミイラにあてると、ミイラが動き出して棺から登場、我はマナウス四世……と口上を述べる。が、カメラマンのダニエルが続けざまにフラッシュをたいたため、チップが暴走(?)。ミイラが暴れだす。/リアリズムなんて問題にしないという姿勢がいい。族長の安ピカの衣装、カメラマンの助手ジュリーが案内された部屋にある巨大(に見えるだけ。カメラの近くに置いている。これはかなり多用))なライオンのヌイグルミ、同様にダニエルの部屋にはなぜか巨大なコアラのヌイグルミ、ミイラの復元、脳にコンピューターチップ等々。いい加減な合成画面、適当なCG。それなのに、永遠の女神ネグレトの呪いで倒れる兵士のグロさは力が入っている。口からわけのわからないものを吐き出し、さらに内臓みたいなものを吐き出し、頭が膨れて髪を引き抜き……こんなに力が入っているのに、この場面、前後の展開と全く無関係。邦題だと「ミイラを攻撃」することになるかと。「ミイラ遊園地計画」かなんかでいいじゃん、って思います。    

119 ぜったい、お腹こわすって。 
邦題 恋する惑星  勝敗 邦題の勝ち 
原題 CHUNGKING EXPRESS 重慶森林 
出演 金城武(モウ刑事) ブリジット・リン(金髪カツラの女) トニー・レオン(警官633号) フェイ・ウォン(フェイ) 監督 ウォン・カーウァイ 1994年
2話オムニバス。第1話は女にふられた刑事のモウが、謎の金髪カツラの女をナンパする。4月1日にふられたモウが、恋の賞味期限と称して自分の誕生日5月1日が賞味期限のパイン缶を毎日1個ずつ買い続ける。そういう変な心理になる時ってあるよね。ただ、30個のパイン缶を一晩で食べるのは……若さだね。その後も、サラダやらフライドポテトやらも食べていたし。第2話。スチュワーデス大好きな警官633号がスチュワーデスの彼女にふられて失意の時に、ハンバーガーショップのバイトのフェイは彼に恋をする。偶然手に入れた合鍵で勝手に部屋に入り、掃除やら洗濯をしてしまう。どうみても犯罪だけど、恋をすると非常識な事をしてしまうものだよね。おまえ痩せたな、と、使って減った石鹸に話しかける警官633号もそうとう変だしね。それにしても、掃除洗濯だけでなく金魚が増えていたりカップが交換されていたりするのに気付かないのは、警官としていかがなものかなー。原題は「重慶特急」? 「重慶ジャングル」? よくわからないけど、邦題がかっこいいからこっちの勝ち。   

120 アブナイ人同士だけど、純愛なの……か……? 
邦題 氷の接吻  勝敗 原題の勝ち 
原題 EYE OF THE BEHOLDER 
出演 ユアン・マクレガー(アイ) アシュレイ・ジャッド(ジョアナ) 監督 ステファン・エリオット 1999年
イギリス大使館の諜報員(か? )アイは、上司の息子を監視していたが、息子は女に殺されてしまう。女を追ううちに、アイは女を愛するようになる。/いなくなった娘の幻覚と話をするアイ。どうみても普通じゃないけど、娘の姿を幻覚と知りながら話していた時は、まあまともだったようだ。幻覚の娘が写真に写っていたのはなんでだろう。あれもアイの幻覚で、いよいよアブナイ領域に入ってしまったってことなのだろうか。ジョアナは、幼時の辛い体験もあったけど、少女時代に世話になった保護監察官の女性に傾倒しすぎていたと思われる。自分を理解してくれる相手を探しているけど、寄ってくる男は下衆ばかりで失望のあまり全員殺してしまった(のか?)。唯一人盲目の男には本気だったようだが、それは、アイが贈ったペンダントを、その男からのプレゼントと勘違いしたからのようで、結局、アイとジョアナは離れられない運命にあった、と。見ながら「何してるんだ、この人(アイ)」とつぶやく事数回。ハテナが多いドラマなのだけれど、妙に説得力があるというか何と言うか……。まあ、ラストは、あれまあって感じだけど。原題は「眺める人の目」で、EYEはアイの目らしい。邦題は意味不明というか意味がないようなので、原題の勝ち。      
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