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乳がん手術件数「0」―-清水の風土病はどうした?        2019年6月2日


 清水病院のホームページに外科の手術件数が載っています
 なんと乳がん手術件数が平成29年度「0」になっています。
 「乳腺疾患」の項に<現在、残念ながら当院では乳腺専門の常勤医不在のため、乳癌手術は行っていません。>とあります。

 かつて、「乳がんは清水の風土病」と病院職員の間で言われていたことを知らずに清水病院の乳がん名医のもとへ行ってしまった私は、手術のために入院した時、病棟の看護婦から「外科病棟の半数以上が乳がん患者だから安心して」と言われ、安心どころか異様さに背筋が凍ったことを鮮明に覚えています。

 1992年当時、外科病棟の廊下を行きかう患者たちの後姿は、肩がびっこに歪み、大きな乳がん手術を受けたことが一目瞭然でした。1階のリハビリ室へ行けば、広い室内にいるほとんどが乳がん手術後の患者で埋め尽くされ、異様な光景でした。

 すべてが夢のあとなのか…。

 手術を受けた後、乳がん名医に「どういうがんだったのか」という私の質問に答えてもらえず、診断に疑問をもち、市に対して声を上げ始めた時から27年。被害をくい止めたくて会を立ち上げて19年経ちました

 その間、12年近くかかった裁判では「がんではない」主張は退けられましたが、応援して下さる多くの人たちとの出会いに恵まれ、支えられてきました。

 清水病院に勤務経験がある近藤誠医師はご著書でルポライターの米本和広氏は病院職員も取材して複数の雑誌で警鐘を鳴らして下さいました。

 2000年には、お二人のご協力もあって「清水病院から被害をなくす会」を立ち上げ、会のホームページで広く情報発信ができるようになりました。

 会設立後、乳がん名医は清水病院を去り、手術件数はほぼ半減したものの、その後も後任医師の対応に悩む患者からの声にどうしたものかと気になっていました。

 清水病院のHPにその後任医師が退職したことが載っていました。

 冒頭に記したように外科のページを見ると、現在、乳がん手術を行っていないことが載っています(乳腺疾患の項)。<残念ながら>の意味するところはと突っ込みたくなります。
 そして、「外科診療の3つの柱」の「3.がん診療」の項に、<大腸がんがとびぬけて多く>と書かれていることに驚きました。医師が替わると、風土病も入れ替わるのかとブラックジョークをとばしたくもなります。

 乳がん名医がいた頃、100件近くあった乳がん手術件数が0とは…。
 声を上げ始めて四半世紀経ってこんな結末になるとは…。

 私自身きつい後遺症で苦しんでいるし、同じような多くの被害者の存在に言葉に言い表せない複雑な心境でいます。    

                              竹下勇子(2019年6月2日)

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