リンパってなに?
マッサージの目的による手法で、リンパ(lymph)マッサージという言葉を耳にしますが、いったいリンパってなんだろう?と疑問に思うかたのために、リンパ(解剖・生理医学)についてまとめてみました。
心臓血管系 |
心臓
(ポンプ) |
→ 動脈(動脈血液) → |
組織
(組織液) |
← 静脈(静脈血液) ← |
← 左右静脈角 |
← リンパ管(リンパ液) ← |
心臓から送り出された血液が末梢の毛細動脈血管に運ばれ、血圧により血管壁から漏出した血液成分を組織液という名称で呼びます(とどまる部位により名前が変わります)。組織液は、通常毛細静脈管に吸収され静脈血液となりますが、一部はリンパ管に吸収されリンパ(リンパ液)となります。
■ 組織液 |
血管外で各組織・細胞を覆っている液体。組織間液。細胞外液。 |
■ リンパ |
リンパ液。 |
■ リンパ液 |
リンパ管の中に存在する液体成分。
血漿が変化したもの(血漿より蛋白質が少なく、さらに部位によって濃度が異なる液体)。
組織液と本質的に同じ。リンパ球を含む。血漿→組織液→リンパ液。
無色透明。蛋白質濃度により白色化する。
感染防止の必要に応じてリンパ管への流入量が変化します。
体外に出るとゆっくりと凝固するが完全には固くならない(擦りむいたときに出る粘々した透明な液体)。 |
■ リンパ球 |
血液成分に含まれ、ウイルスや細菌などを死滅させ免疫機能に働く細胞。
Tリンパ球(T−細胞)Bリンパ球(Bー細胞)の二種類。 |
■所属リンパ節
扁桃腺 |
リンパ管の途中にありウイルスや細菌など異物の濾過器の役目をする。 |
■リンパ管 |
静脈血管にほぼ寄り添うかたちで全身に分布している。 筋肉の収縮や動脈血管の圧力により抹消から心臓にリンパを運ぶ。
右上半身のエリアと左上半身両下肢エリアの2区画に分かれている。 |
■リンパの流量 |
1日/2〜4リットル (左右静脈角に戻る流量の和)。 |
■血液流量 |
1分間/5リットル 1日/7200リットル (左心室からの拍出量)。 |
リンパ系(リンパ管・リンパ節) |
一次リンパ性器官(骨髄、胸腺) |
血液(血漿、リンパ球)の産生器官 |
二次性リンパ器官(脾臓、扁桃腺、所属リンパ節など) |
生体防御器官 |
※もっと詳しい解剖医学を知りたい → 船戸医師解剖学テキスト(脈管学) TOP
リンパ管系の働きのまとめ
1.異物の濾過作用。 |
2.免疫物質の産生作用。 |
3.毛細血管、組織、リンパ管の間で行われる組織液の微小循環の調節作用(浸透圧の調節)。 |
むくみの原因?
浮腫
(むくみ) |
局所性 |
静脈リンパ管の閉塞、炎症性、アレルギー性
手術後遺症(乳癌→腕、骨盤内臓→脚)など |
全身性 |
心臓性、腎臓性、肝臓性、栄養失調性、薬物性など |
リンパマッサージの役目
適応症 |
局所性。静脈リンパ管の閉塞(疲労性・不動作性)、主に四肢,、顔。
炎症性、(打撲、捻挫、骨折後、変形性関節症など)。冷却療法
アレルギー性(関節リウマチなど)。 |
不適応症 |
心臓疾患で全身性症状の重度のもの。
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むくみ(リンパ浮腫)の改善を目的として行われるマッサージのことをリンパマッサージと呼んでいます。
静脈を刺激して行うマッサージと基本的に同じです。手技の色々
むくみ(リンパ浮腫)という表現を多く聞きますが、実際には、むくみは「組織液の停滞状態」を意味します。
むくみによる関節運動の機能障害改善および運動前後処置として行われています。
リンパ節の除去手術後や内科的症状からくるむくみに対して行われています。
顔や足や下腿(ふくらはぎ)の軽度のむくみにおいては、疲労回復や美容目的でも行われています。
手法は軽擦法を多く用い皮膚に直接行います。
摩擦抵抗を減らすためオイルやパウダーを用います。
比較的弱い圧力で末梢→心臓方向にかけてリンパ管内のリンパの流れを物理的に手助けするように行います。
実際には静脈血液、毛細動静脈、組織液、末梢神経も同時に刺激しています。単に循環を改善する効果だけではなく、抹消神経(交感神経)の興奮を鎮静させる作用もあります。
リンパマッサージの別の呼び名で「徒手リンパドレナージ(リンパ排泄法)」や単に「リンパ法」と呼ぶこともあります。
包帯などの道具を用いて行う方法とリンパマッサージを含めた総称を「リンパドレナージ(リンパ排泄法)」と呼んだりされています。
老廃物・毒素の流れ?
末梢組織
(組織液) |
毛細静脈→ |
静脈
(静脈血液) |
→ |
肝臓(胆汁)
消化管より便として排泄。
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毛細リンパ管
→ |
所属リンパ節 |
→ |
→ (静脈血液)→ |
心臓
(ポンプ) |
→ |
リンパ管 (リンパ液)→ |
静脈角→
静脈血液に合流 |
←毛細動脈 |
←動脈(動脈血液) |
← |
←(動脈血液) |
↑↓
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腎臓より
尿として排泄 |
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水分を多く摂取することで、これらの代謝機能が促進されます。
例=血管造影検査後に行われる、造影剤(毒素)の早期排泄を目的とした水分摂取(約2リットル)。
むくんでいる=リンパが溜まっている=老廃物が溜まっている=毒素が溜まっている(尿になる成分)
(適切な表現ではありませんが)ほぼ同じ意味で用いられています。
当治療室では、症状の状態や希望者に考慮して四肢のみ実施しています。
※リンパマッサージは医療行為または医療類似行為です。あん摩マッサージ指圧師、医師が行う業務となります。→ 豆情報
この内容は、医学書院図解生理学を参考にしたものです。
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