手技治療の目的
魔法(治癒力)は薬の中にあるのではなく
患者の身体の中、自然の自己修正エネルギーの中、
治療を行うのは自然の機能を刺激すること、
またそれを覆っているものを取り除くこと
C.S.Lewis 1940
手技治療の目的は、全身的あるいは局所的に傷害を起こした部位・組織(皮膚・筋膜・筋・腱・腱鞘・靭帯・関節包・骨膜など)に、主に他動的(受動的)刺激を直接的または間接的に与えることにより、以下の効果を期待します。
1.筋・筋膜の過剰緊張の正常化
拮抗関係にある筋のバランス調整
2.低下した関節可動域の改善
筋・靭帯・関節包など萎縮の改善
3.循環の増加と腫脹の減少
筋・骨格構造がリラックスすると血管・リンパ管の圧迫か取り除かれ、血液循環が正常化される。
損傷組織の治癒につながる。
4.痛みの減少
筋・筋膜の緊張・防御、関節の動きの制限が改善するのに伴い、鋭い痛みの減少。痛みの緩和・回復。
5.筋力の回復
障害や疲労によって低下していた筋力の改善。
6.精神神経免疫系の機能調節
皮膚感覚による爽快感。
交感神経と副交感神経の拮抗作用の調節。
生体防御機能(血液成分)の正常化を助ける。
甲状腺ホルモンと副腎皮質ホルモンの拮抗作用の調節を助ける(ストレスの軽減)。
心理的不安の改善。
筋力の増加においては、他動療法では筋力は増えないため、筋肉の能力以上の筋力を付けることはできません。抵抗運動などの手法もありますが、基本的に廃用性(不動作性)障害に伴う筋力低下において、回復には適宜の自動運動(自らが動かす運動)が必要です。
激痛を伴うとき(内傷・内出血・重度の炎症など)は、治療効果が余り期待できません。症状がおさまるまで(傷が治るまで)安静が必要です。
筋骨格系疾患(外科手術の適応外)において、最も精度が高く、回復の可能性が高い療法が「手技療法」です(人の手による療法です)。また治そうという意欲の高い人ほど回復の可能性が高く・早くなることがあります。
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