手技の色々(日本基準)
あん摩 とは?
中国から日本に渡ってきた手法。衣服の上から動脈に対して遠心的(心臓から抹消方向)に行います。経穴(ツボ)を刺激するマッサージのことで、日本では一般的にあん摩のことをマッサージと呼んでいます。あん摩=日本式マッサージ。
漢方医療の一分科として発達した施術で、あん摩の語源は、抑按調摩という言葉とされています。「あん(按)」は押す、「摩」は撫でるという意味があります。東洋医術の基礎となる療法です。
あん摩の基本手技
・軽擦法(けいさつ) |
軽く擦る |
・揉捏法(じゅうねつ) |
もむ |
・圧迫法(あっぱく) |
押す |
・振せん法(しんせん) |
振るわす(バイブレーション) |
・叩打法(こうだ) |
たたく |
・曲手(きょくで) |
叩打法と軽擦法などを合わせた手技 |
・運動法 |
関節の種類に合わせて主に他動的(受動的)に動かす |
あん摩の別名を「もみ療治」とも呼びます。もみ療治(もみりょうじ)という名称は、広告することのできる正式名称です。
便秘の改善などの目的で腹部のみをあん摩する方法を「あん腹」(あんぷく)と呼びます。
乳腺の分泌促進などに対して乳房に行うことを「乳もみ」(ちちもみ)と呼んでいます。
近年、入浴施設や宿泊施設などで「ボディケア」「中国整体」等と呼ばれている療法も同じ療法です。豆情報
マッサージ とは?
ヨーロッパから日本に伝わった手法。主に衣服を着用しないで静脈に対し皮膚に直接、求心的(抹消から心臓方向)に行います。一般的に摩擦抵抗を調節するために、オイルやパウダーなどの潤滑剤を用いて行います。
マッサージという語はフランス語で、その語源は、ギリシャ語の「マッシー」(もむ)とアラビヤ語の「マス」(やわらげる)という語からきたものと言われています。16世紀末にになって主ににフランスで医学応用がされるようになりました。西洋医術の基礎となる療法です。
マッサージの基本手技
あん摩の基本手技とほぼ同じ。
強擦法が加わり運動法は別に分類しています。
軽擦法中心の手法。
スポーツマッサージ とは?
スポーツを行っている人に対して、スポーツ障害を予防、あるいは治療を目的に行われる、あん摩指圧マッサージのことです。目的による呼び名です。
主に急性症状に対する手法を用いてマッサージを施します。
ちなみにスポーツを行っていない人に同じことを施した場合、スポーツマッサージとは呼びません。
アロママッサージ とは?
アロマテラピー(芳香療法)にマッサージを組合わせた療法。
マッサージ自体の手技は皮膚に直接行うマッサージで、オイルマッサージやリンパマッサージと呼ばれるものと基本的に同じです。
香の元となる植物などから抽出したエッセンス(精油)を、ベースとなるキャリアオイル(主に植物系のもの)に溶かして潤滑剤として使って行うマッサージ。精油やキャリアオイルは患者の体調に合わせ様々な種類を組み合わせて使用されます。アロマテラピーの効果を最も引き出す療法です。
注意:嗅覚(アロマ)と皮膚感覚(マッサージ)を刺激することによる神経のリラックス効果が目的で、精油が皮膚に浸透して得られる治療効果は期待できません。
結合織マッサージ とは?
ドイツの理学療法士エリザベート・ティッケ(1884~1952)か考案した、皮下結合組織の異常を正す目的で行われるマッサージ。
ティッケ方式とロイベ方式の二種類の流派があります。
タイ式マッサージ とは?
タイ国で主に寺院を中心として行われているマッサージ。約2500年前にインドから仏教とともに伝わり、中国医学(東洋医学)の影響を受けて現在に至っています。
プラーナ(気)の思想を重視して、ナディ(経絡)を対象に治療を行います。日本のあん摩指圧に独特のストレッチ(他動的ヨガ)を組み合わせたような療法です。
その他のマッサージ???
国による分類
あん摩=日本式マッサージ(ジャパニーズスタイルマッサージ)。
ハワイではロミロミ(ハワイ語でマッサージ)。
中国では推拿(すいな)。
タイ国ではタイ式マッサージ。
台湾では台湾式マッサージ。
目的による分類
病院・治療院などで行う場合は医療マッサージ、または保険マッサージ。
美顔・美容におけるマッサージ(ハンドエステティック)。
企業の専属(ヘルスキーパー)においては産業マッサージ。
ホテル旅館では慰安(いあん)マッサージ。
スポーツしている人に対してスポーツマッサージ。
時間による分類
短い時間で手頃に行うクィックマッサージ。
タイムマッサージ。
ダブルマッサージ。
トリプルマッサージ。
使用物による分類
オイルマッサージ。
アロママッサージ。
ストーンマッサージ。
青竹マッサージ。
部位による分類
頭に対してヘットマッサージ。
顔はフェイシャルマッサージ。
体に対してボティマッサージ。
足に対してフットマッサージ・足ツボマッサージ。
リンパ液に対してはリンパマッサージ。
心臓に対して胸部心マッサージ(救急救命処置)。
全く同じ手技でも、様々な名称に変わることがあります。 → ■ 豆情報
あん摩マッサージの基本手技が、総ての手技療法の基本手技となります。
指 圧 とは?
故波越徳次郎氏が創始した手法。押圧法(圧迫法)と運動法(運動操作)が特徴。
日本のあん摩法や柔道の活法とアメリカの各種療法(カイロプラクティック・オステオパシ-手技など)を加えて改良された療法。
電気治療などの物理療法を加えた総合手技療法。
指圧の基本操作
・押圧法(圧迫法) |
垂直・持続・集中が三原則。 |
・運動法(運動操作) |
ストレッチ。あん摩・カイロプラクティックの脊椎矯正、骨盤矯正などのの運動法に類似、。 |
一般的には指て押すことを「指圧」と呼ぶ場合が多く、指圧を希望されるかたは、もむ行為より強刺激を必要とする場合に用いられます。
この他には、指の先端部て押圧するのを「指鍼」。
足で揉んだり押したりする療法を「フレーセラピー」(足で行うあん摩指圧)。
足で押すのを「足圧」と呼んだりするようです。
水治療法の一種で、温泉プールなどの水中で行う他動ストレッチを「ワッツ(ウォーター指圧の略)」と呼んでいます。
整体 とは?
あん摩マッサージ指圧等の基本手技を用いて「体の歪みを整える」「体調を整える」という意味の造語。
目的による呼び名。
他にも正体、生体などや、これに似た意味で形態、形体、快体、均整などの言葉を用いた療法もあるようです。
手技療法の技術、理論は様々な方法があり、世界中にも様々な療法があるため、これらの療法を簡単にして ‘整体‘ と呼んだりすることもあります。
だれても‘整体師‘を名のることができるため(職種の実態や定義がない)、一般に医療従事者が行う療法と区別して使われることもありまます。
変形徒手矯正術 とは?
関節可動域に制限を来する病状のおいて、この可動域を拡大する(元の状態に回復)目的をもって行われる「徒手による矯正術」と厚生労働省で定めています。
四肢の関節拘縮、固縮、痙性拘縮、強直などに対して行われます。マッサージや運動法をはじめとし、様々な手技を駆使して行います。
あん摩マッサージ指圧師が医師に同意(同意書)を得ることにより、健康保険の適応になります。
健康保険利用による在宅医療マッサージ(訪問リハビリマッサージ)
筋膜療法 とは?
皮膚の内側、筋肉の外層にある筋膜組織を刺激する方法す。指圧の手技に似ていますが最も特徴的なところは、圧迫したまま「ずる」ことです。ずり圧と呼んでいます。もっと簡単に説明しますと局所のストレッチだと思ってください。直接的・間接的に操作します。側湾症や円背(猫背)などの変形の改善や、局所の痛みの緩和に効果が得られます。筋膜は生理学的に痛みが強く感じる部位です。操作の方向や時間の違いでいくつかの呼び名があります(筋膜リリース、マイオテラピーなど)。
足の反射療法 とは?
東洋医学の経穴(ツボ)が起源とされるが、アメリカのフイッツゲラルド博士(外科医師)の「ゾーン療法」が始まりとされています。このゾーン療法の「足」のみの療法。足裏の指圧+下腿のマッサージ。
日本では近年、リフレクソロジー(反射学)とも呼ばれています。
足裏の反射区(ゾーン)を刺激することで、内臓・身体の部分に影響を与えることができます。ただし、このことのみで病気を診断したり、治療することはできません。
反射区の違いで、ドイツ式(マルカート方式)、台湾式(マサフレット方式)など数種類存在します。日本には古くから「足心道」という足の健康法があります。
手法に「反射療法」という名称が用いられていますが、「西洋医学的反射」の意味とは全く異なる療法です(反射の定義)。
マニピュレーション とは?
マニピュレーション(mainpulaiation)とは、「マニ」「mani」は「手」、「ピュレーション」「pulaiation」は「~行う」という意味があります。すなはち「手で行う」行為「手でさばく」行為のことを意味します。また、具体的に「手による検査あるいは治療」と定義しています。臨床的に、広義で手技療法(mainpulaiative
therapy)。狭義ではアジャストメント(瞬間圧)を用いた関節調節操作(jjoint
mainpulaiation)という意味でも使われています。関節の不随意運動(遊びの運動)の機能障害を回復する目的として使われる徒手技術のことを意味します。
オステオパシー とは?
アメリカのA.T.スティル博士(1829~1917)によって考案された理学的治療法。オステオパシーはギリシャ語で、「オステ」は骨「パシー」は病理、すなわち骨を調節する療法。1874年に医学会に発表。身体が自己治療する理論に基づき、現在は徒手療法をはじめ、栄養(食事療法)、薬物療法、外科手術療法などを行う医療として確立している。
オステオパシー手技の基本操作(主なもの)
・ファンクショナルテクニック(直接的・間接的) |
アジャストメント(瞬間圧)から、ゆっくりとした無痛の運動法などがある。 |
・ストレインカウンターストレイン |
間接的三次元運動法 |
・筋エネルギーテクニック |
抵抗運動と他動運動を組み合わせた運動法。
PNFにおけるホールド・リラックス法と同じ。 |
・リンパテクニック |
リンパマッサージと同じ。 |
・内臓マニュピレーション |
胸腹部に行う内臓体性反射を応用した刺激操作。 |
・頭蓋仙骨療法 |
頭蓋骨から仙骨にかけての脳脊髄液の循環を調節するソフトな圧迫法。 |
アメリカの医師制度で、通常の医師(M.D)制度より長い教育課程があるオステオパシー医(ドクターオブオステオパシーD.O)が行っています。日本では法制化されていませんが、理学療法(PT)、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の手技治療に応用させています。
オステオパシー手技 ストレイン・カウンター・ストレイン(PRT)とは?
アメリカのオステオパシー医、ローレンス・ジョーンズ博士(1912~1996)が開発したテクニック。「ストレイン・カウンター・ストレイン」を日本語にすると「緊張逆緊張」という意味で、このテクニックをより解りやすく表現した別名、より発展した同じようなテクニックを総称して「ポジショナル・リリース・セラピー」略して「PRT」と呼ばれています。「過敏点療法」「テンターポイント療法」とも呼ばれることもあります。
治療法は痛みを主評価とし、痛みの部位を他動的に収縮させ(逆側にある筋肉をストレッチする)持続的に保持する。つまり痛みが楽になるポジションに関節を曲げ、1分~3分間持続保持することにより筋緊張を元の状態に戻す(リリース)ことができます。
筋骨格系における障害、高齢者や小児、スポーツ障害などの急性症状においても安全に鋭い痛みの症状を劇的に軽減することができる強力なテクニックです。
筋エネルギー手技(MET)とは?
リハビリテーション(理学療法)の分野で、ノック(Knott)とボス(Voss)によってホールド・リラックス(神経筋促通手技)として開発されたテクニック。オステオパシーでは、マッスル・エナジー・テクニック略してMETと呼んでいます。操体法でも多く用いられるテクニックです。
治療法は痛みや筋力低下の部位を主評価とし、痛みが起きない方向に自動的に関節可動し筋肉の収縮を行い、最初に可動が止まる位置(制限バリアー)で数秒間術者が力を加えて抵抗して止め、その後患者に力を抜いてもらいます。自動運動に抵抗操作を加えた、等尺性筋収縮後リラクゼーションを目的としたテクニックです。PRTやあん摩マッサージと組み合わせて行うとより効果が期待できます。
カイロプラクティック とは?
アメリカのD.D.パーマー(1845~1913)が創始。ギリシャ語で「カイロ」は手「プラクティック」は技術という意味で、手を用いて脊椎の調整を行う技術。パーマーは、生命現象と脊椎の異常と疾病に重要な関係があることを発見し、1896年「カイロプラクティック」と名づけ医学会に発表。
カイロプラクティック手技の操作
指圧の手技を用いて、脊椎その他の部位をアジャストメント(圧迫法の瞬間圧)を行うのが特徴。いわゆる「ボキボキ」行う療法。オステオパシー手技に類似。
アメリカの開拓時代に非医師による療法であったが、その後法制化され、現在では、カイロプラクティック医(ドクターオブカイロプラクティック D.C)が行っています。日本では、オステオパシー同様です。
上記の療法を日本国内で「業」とする場合、「身体に刺激を与え変化を促す行為」「体重をかけ痛みを感じる程度の刺激与える行為」となり、広義の医行為、狭義の医療類似行為となります。
注意) 当治療室で上記に紹介の療法すべてを実施してはいません。 上記の療法は医療行為または医療類似行為となります。医師またはあん摩マッサージ指圧師の業務です。
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