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厚労省へ指導願い 2003.01.10
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厚労省へ指導願い 2003.01.10

厚生労働省医政局総務課                2003年1月10日
医療安全推進室 
室長 新木 一弘 様

清水市立病院における医療について指導のお願い

拝啓
 私たちは清水市立病院(静岡県清水市)での被害をくい止めるために、被害者が中心となり、2000年2月に「清水市立病院から被害をなくしより良い病院にする会」を、立ち上げました。
 清水市立病院で過去に起きた被害実態を検証することによって、病院の体質や、構造的な問題を調査し、改善にむけて市や病院に要望する活動をしていますが、私たちの力では限界があり、現在、安全が担保されているとは言い難い状況です。
そこで、私たちが調べた実態をご報告します。

1 閉鎖的な体質

 被害者が裁判を起こしたことによって、初めて明らかにされた実態として、22年間清水市立病院でメスを持ち続けた外科医の問題を示す資料(資料1)を、ご参照下さい。
その後、マスコミに取り上げられたことがきっかけとなり、2000年4月にこの外科医(前副院長)は清水市立病院を退職しました。しかし、それまで市や病院はこの外科医に対して何の対策もとらず放置し、ふたりから提訴された(1992年、1996年)にも関わらず、副院長に昇格させていました。

 乳がん手術のように外から目に見え、関係者の誰もが下手な手術だとわかっていても、被害者が声を上げるまで、その外科医の技量の問題が表に出なかった病院の閉鎖的な体質と、市や病院が何も手を打たずにその外科医を野放しにし、被害者を出し続けてきたことが大きな問題であることをご理解していただきたいのです。

 問題となった医師が辞めても、病院の体質は何ら変わらないのです。
この外科医については清水市立病院での被害はくい止められましたが、医師免許をもっているかぎりは、他の地で同じことが繰り返されることは十分考えられます。ちなみに現在は、伊豆韮山温泉病院(静岡県)で院長職に就いています。

2 構造的な問題

 清水市立病院において、過去に起きた問題で、裁判などで公表されているものを、被害者本人からの資料及び新聞記事から一覧表にまとめました(資料2)。それによって、医局の問題、研修医の問題、問題を起こす医者の問題がはっきり読み取ることができます。
 問題を繰り返し起こした医者については、初めに問題が起きた時点で、市や病院が対処していれば、当然、その後の被害はくい止められたはずです。

 そして、医師が短期間でころころ入れ替わって困るという病院職員や患者からの声を受けて、医師名簿を元に、過去5年間の常勤医師の入れ替わりを調べました(資料3)。

 調査の元になった医師名簿は、常勤医師のみが掲載されていて、しかも、毎年、同じ日を基準に、その時点で在籍している常勤医師が掲載されているものです。ですから、実際には、その間にも出入りがあるわけで、入れ替わりの数は、表に示された以上になるわけです。
常勤医師の入れ替わりを調べたことによって、市は、建物や設備や職員を用意し、医師の派遣を医局に頼り切っていることがわかりました。

 医師が短期間で入れ替わる弊害は、医師と患者の関係だけでなく、医師と病院職員の間でも信頼関係を築きにくいという問題があります。このような実態を明らかにし、問題を表面に出して、改善していかなければ、被害者を生み出し続ける体質は何ら変わることはありません(資料4)

 以上、私たち会が活動を通して調べたところでは、清水市立病院は医療安全の観点から、医療の安全が担保されていないし、被害者救済の可能性もありません。ごく最近発表されたルポ(資料5)をご参照下さい。
清水市民が安心してかかれる病院になるよう、清水市立病院に対し、このような実態を勘案し、閉鎖的な体質や構造的な問題を改善するよう、きちんと指導していただきたく当局にお願い申し上げます。
                                敬具

2003年1月10日           「清水市立病院から被害をなくし
                    より良い病院にする会」
                     代表 竹下勇子
(添付資料説明)
資料1   近藤誠医師による意見書(2件)と手術写真
資料2   清水市立病院で過去に起きた医療事故一覧
資料3   過去5年間の常勤医師入れ替わり一覧
資料4   昨年新聞報道された医療事故記事
資料5   月刊『現代』1月号より

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