資料
●静岡新聞 2002年9月5日付朝刊28ページ掲載
『心疾患を誤診、男性死亡』
清水市立病院遺族に謝罪
1,500万円賠償で和解
清水市宮加三の清水市立病院(重野幸次院長)で三月、胸が苦しいと訴えて心電図検査を受けた市内の無職男性(八四)が帰宅後、症状が急変して死亡していたことが四日、明らかになった。病院側が「誤診があったと認めて遺族に謝罪し、損害賠償金千五百万円を支払うことで和解した。
重野院長によると、男性は平成九年六月に狭心症などで同病院に入院、その後も二年半ほど通院していたという。今年三月十三日午後一時ごろ、救急の心電図検査を受けたが、当直だった当時の内科医長(三九)が心筋梗塞(こうそく)を狭心症と誤って診断、投薬処方して自宅に帰した。男性は午後六時ごろ症状が急変し、同病院に運ばれたが、死亡した。
内科医長は「心電図の波形を見誤った。もっと慎重にすべきだった」と誤診を認めている。病院側は同医師を厳重注意とし、今後患者が集中するときは、医師二人体制をとるなどの対策を講じる。重野院長は「院内に専門医がいたので、自分一人で判断しないで呼んで相談すべきだった。大変申し訳ない」と謝罪した。
「失血死」訴訟 争う姿勢 清水市立病院
清水市立病院で直腸がんの切除手術を受けた直後に死亡したのは担当医のミスによる大量出血が原因だとして、死亡した県中部地区の男性の妻と子供が清水市を相手に約三千五百万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が四日、静岡地裁で開かれた。病院側は「大量出血は手術のミスが原因ではなく、DIC(血管内凝固症候群)によって出血が止まらなくなったため。出血への備えも十分だった」などとして争う姿勢を示した。
訴えによると、男性は昨年二月十四日、同病院で直腸がんの手術を受けたが、翌十五日に死亡した。この手術で5000ミリリットルを超える出血があったが、直腸切断手術の出血量は通常1000〜2000ミリリットルで、担当医のミスにより血管などが傷つき、大量の出血につながったとしている。
さらに病院側は多臓器不全で死亡したとしているが、失血性ショックが死因とみられ、大量の出血に対応できる十分な準備もしていなかった―としている。
「静岡新聞編集局情報調査部、掲載許諾済み」
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