資料
●静岡新聞 1992年5月21日付夕刊7ページ掲載
「処置は適切」
がん患者
遺族訴訟 清水市が初弁論
がん患者の妻が死亡したのは抗がん剤投与時の血液検査などを怠った医師の治療ミスが原因として、死亡した患者の夫ら遺族三人が病院を経営する清水市を相手に約四千七百万円の損害賠償を求めた医療訴訟の第一回口頭弁論が二十一日、静岡地裁(吉原耕平裁判長)で行われ、被告側の清水市は「抗がん剤についての説明は十分で、処置は適切だった」として全面的に争う構えを示した。
訴えたのは、清水市立病院で平成元年九月に亡くなったがん患者の夫で清水市の会社員Aさん(四四)とその娘二人。
訴えによると、Aさんの妻B子さん=当時(三七)=は乳がんのため平成元年五月、清水市宮加三の同病院に入院、六月に手術を受けた。その後、直腸がんがみつかり、八月に三回目の手術を受けてから二度にわたって抗がん剤マイトマイシンCを投与されたが、三度の大手術による体力消耗と抗がん剤の副作用で骨髄、肝機能が悪化。肝不全などのため九月十九日に死亡した。
原告側は抗がん剤には白血球や血小板の減少、肝機能障害などの副作用があり、頻繁に臨床検査を行い、異常が認められた場合は投与を中止しなければならないのに、医師は事前に副作用の説明をせず、投与後の血液検査も怠った―などと主張している。
これに対して被告側は「副作用などの説明義務は十分尽くされ、全身症状悪化の主因が抗がん剤投与にあったという原告側主張は受け入れられない」などと反論した。
(静岡新聞1992年5月21日付夕刊7面)
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