資料
●第6回 清水市立病院懇話会議事録(1)
日 時 平成14年2月12日 17:30〜18:40
会 場 講堂1
●意見交換
1. リスクマネジメント委員会の進捗状況について
(病院当局) 昨年の12月に第1回目の研修会を開催し、医師13人、看護部7人、診療技術部4人の計24人が出席した。医師の参加が多く、今後の成果が期待できるのではないかと考えている。ただ、リスクマネージャー候補全員が研修を受けることが出来なかったことから、第2回目の研修会を4月に予定しており、全員が研修を受けたところでリスクマネジメント委員会として活動を開始していきたい。
また、リスクマネージャーの仕事の範囲や委員会の運営方法については、さらに研修を実施していく。
今まで医療事故対策に取り組んだ結果として、重大なアクシデントが発生した場合、医療過誤の有無に関わらず全て公表することにし、届出を行い改善の資料として提供してきたことにより、遅れていた医師の意識改革を促し医療の密室性が打開され、患者が納得した上での医療の提供が定着してきた。
(委 員) 情報の共有について改善が進んでいるとのことだが、全員が共通の認識になることが必要である。その為にはリスクマネージャー研修に全員を参加させた後にリスクマネジメント委員会を立ち上げるという方法論は正しいのではないかと思う。
(委 員) 上の人が任せると言わないと出来ない仕事であり、それがどれだけ出来るかで変わってくるのではないか。本気になってやるには相当の権限も必要となってくる。
また、開業医も考えていく必要があるのではないか。
(病院当局) この前の研修会には、当院だけでなく医師会からの参加もありました。
当然、リスクマネージャーには権限を与えるだけでなく、管理者の強力なサポートがないと出来ない仕事であると認識しています。
(委 員) リスクマネジメントで経営的なこともやろうという動きがあるとのことだが、そこまでやることはなかなか難しいでしょうね。
(委 員) リスクマネジメントは、改良の過程が全てだと言われている。マニュアルを作成し、それに基づいてやれば良いという結果を求めるのではなく、目的を達成する為に改良を重ねるのがリスクマネジメントである。又、ある程度目標に到達すれば良しとするのではなく、より高い目標を達成する為に常に改良を重ねていくことが重要である。
2.回復期リハビリ病棟について
(病院当局) 回復期リハビリ病棟とは、平成12年4月に介護保険と同時にスタートした新しい制度である。
今までリハビリは、様々な病院で実施されてきたが、定義・期間・対象患者がはっきりしておらず漫然と続けられていた。リハビリを実施するにあたり基準が設けられており、1番上の基準が総合リハビリで、理学療法面積150u・作業療法面積100u・専属医師2人・理学療法士5人・作業療法士2人以上となっている。当院においては、面積的には満たしているが、医師・理学療法士の人員基準を満たしていないことから理学療法Uの施設基準をとっている。回復期リハビリとは、この理学療法Uの上の基準である。また、開業医が行っているリハビリは、理学療法V又はWの基準である。ランクが変わることによる違いについては、1人の理学療法士が関わる訓練の診療報酬の点数が高くなる。ランクを満たさなければ同じ訓練をやっても単価が安く算定される。
回復期リハビリの施設基準を満たすためには、病棟単位で専属医師1人・理学療法士2人・作業療法士1人が必要となり、看護基準も6対1看護・3対1看護補助となり、ケアや看護に厚い施設基準である。
実際に回復期リハビリを行っている病院は、日本全国で100あるかないかである。さらに学会で認められているとなると70位になるのではないか。静岡県においては、リハビリ病院は伊豆方面に数多いが、今までリハビリ病院としてやってきた一部を回復期リハビリ病棟への変更しており、3病院で4病棟実施している程度であり、数としてはあまり多くない。
その他の人員基準等を満たしていない病院のリハビリ実施状況については、療養型病床群でリハビリを継続しているところが多い。
当院についても、近隣地域にリハビリの専門病院がなく、患者の多くは伊豆方面の病院に頼んでいるのが現状であることから、この状況を何とかするため実施しようと考えたものである。
これからは、リハビリは高齢化社会にあたり益々必要な領域であるが、需要に対する供給がまだ充分でない。
当院においては、1病棟を回復期リハビリにすることを考えている。これには病棟の基準(部屋の大きさ等)もあることから、昨年の春から構想を練り4月頃から病棟の改築を行いたいと考えている。その為、外科・内科といった病棟区分の再編成を行っている。出来れば、今年中には、回復期リハビリ病棟としてのオープンしたいと考えている。実際に対象となる患者については、条件があり、急性期の治療が終了した人で、訓練により仕事や家庭に戻れる患者が対象となる。例えば、足腰の骨折や脳卒中等で寝たきりにならないような患者や手術後安静にしていた為に動くことが出来なくなったり、肺炎等で体力が落ち、歩けなくなった患者等、対象者が限られている。そのような患者を1ヶ月程訓練して、家に戻したいと考えている。入院期間も限られており、療養型と違い、長期入院は出来ない。その間に、しっかりとリハビリを行い、仕事や家庭に戻すといった新しい形のリハビリの病床利用で50〜55床を予定している。
(委 員) 入院期間は、患者毎に違うのか。
(病院当局) そうです。医学的に判定して、3ヶ月や1ヶ月と決まってくる。ただし、長期に渡って入院は出来ない。例えば、脳の病気であれば発症して3ヶ月を経過した患者は回復期リハビリの対象とはならない。出来る限り1ヶ月以内に治療を終え、リハビリに移ることが望ましい。
(委 員) 介護保険の対象になりますか。
(病院当局) 介護ではありませんので介護保険の対象にはなりません。
回復期リハビリを終えた患者さんについては、在宅の訪問介護や通所リハビリ・デイケア等を利用して頂き、家に戻れない方は介護保険の施設にお願いすることになります。
(委 員) 家族の方が直接、回復期リハビリ病棟を希望しても入れるのか。
(病院当局) 発症して3ヶ月以内の条件を満たしていれば入れます。但し、急性期の治療(点滴・服薬等)が終わっていない患者については、受け入れることは出来ません。
回復期リハビリ病棟の患者さんが、どの程度になるか不明ですが、県内全域から受け入れるとなると50床では足りないのではないかと感じている。家族の方が直接でも問題ありませんが、紹介があった患者さんを診察や書類で判断して入院できるか決めることになります。誰でもということではなく、良くなる可能性がある患者さんを受け入れるということになります。
(委 員) 3ヶ月以内というのは、何か基準があるのですか。
(病院当局) 発症後の期間が3ヶ月を越えるような長期になると、訓練を行っても効果が上がらない。早く入院し、早期に訓練を開始した方が良い結果が得られるということがあります。
(委 員) 入院期間の限度はあるのか。
(病院当局) はい、あります。 当院としては、入院してから3ヶ月を目標とし、その期間内に強力にリハビリを行いたいと考えています。又、そこまで入院される患者さんはいないと思いますが、最長でも6ヶ月以内となります。なお、日中はベッドに寝ている人がいない病棟にしたいと考えています。
(委 員) 今までは、どうしていたのですか。
(病院当局) 今までは、リハビリの機会がなく、寝たきりになってしまったり、又、動けていた人でも、介護保険の施設入所後はリハビリをやらなくなった為に寝たきりになられた方がいらしたと思います。
リハビリ病院に入院するにしても、伊豆方面にしか病院がなく、距離的・金銭的な問題やリハビリの効果等から、どの位の方がリハビリ病院に入ることが出来ていたのか。良くなる人は良くしてあげ、社会復帰や自立の手助けをしていきたいと考えています。ただ、早期にリハビリを行ったからといって全てが良くなる訳ではありません。
(委 員) 今まで、治療が終わったということで取りこぼしていたということですね。
(病院当局) 当院においては、ソーシャルワーカーがリハビリ病院を紹介する等の努力をしてきましたが、全てに対応は出来てはいませんでした。
当院としても、早く医療を完了し、リハビリに移行する努力が必要であると考えています。
(委 員) 介護保険では、理学療法士のサービスが対象になってはいるが、実際には受けられないのが実情である。理学療法士の派遣等について病院としては可能なのですか。
(病院当局) 介護保険のリハビリテーションは、機能維持が目的となっており、充分な施設と人員がいないのが現状である。当院としても、回復期リハビリ病棟に向け、人員の確保に努めているところである。
(委 員) 理学療法士等を増やすことについて必要とされているが患者に対し少ないのではないかと思う。
(病院当局) 理学療法士の全体人数としては、少なくないので、当院としても増員しようと思えば可能であるが、それに見合うだけの体制が整っていない。理学療法士をただ増やしたからといって、リハビリが充実するものでもない。
リハビリの中に指導者がいて、その中で体系立てをしてリハビリに取り組んでいくことが必要である。
また、今、回復期リハビリ病棟を行っている病院の中にも、医師・理学療法士等の人員基準を満たしてはいるが、やっているリハビリの内容が充分ではないところがある。
介護保険の中に、訪問リハビリがあるが、清水・静岡では実施していない。伊豆方面にある程度である。訪問リハビリとは、訪問看護の中に理学療法士を入れて、機能維持のリハビリを行うものである。これについては、当院でも実施したいと思っている。
(委 員) 人を入れたからといって、うまく機能するわけではない。やはり、実績を作り、その中で増やしていくという繰り返しでやっていかないと、充分機能しないと思う。
(委 員) 在宅に戻ってからも、リハビリを継続していかないと後退してしまうのが現実であり、訪問リハビリの制度としては、あっても実際に機能していないのでは…。
(病院当局) 実際に、どの程度のことを行っているかは不明であるが、今、実際に訪問リハビリを行っているのは、針・マッサージ師である。
(委 員) 私も骨折をし、リハビリを行ったが殆ど役に立たず、それからしばらくして野球をやったりしていたら治ってしまった。おっかなびっくりやるリハビリでは、効果が出ないので、系統立てして行う必要がある。そういった意味において、回復期リハビリ病棟の存在価値があるのでしょう。
(病院当局) 期待に応えるようがんばっていきたいと思います。
3. 病診連携について
(病院当局) 別紙資料に基づき説明 病院と診療所の連携について、段々に改善が進んでいる。
紹介率30%を全体の目標としているが、なかなか難しい。ただ、主な診療科については、30%を越えているが、初診が多い皮膚科・小児科等については、当然紹介率は上がってこない。全体の紹介率については、今年度22%であり、前年同時期の21.1%を上回っている。
逆紹介にも力を入れており、74.3%と前年同時期の59.2%に比べて上がってきている。
静岡においては、病院対医師会といった1対1の連携を組んでいますが、清水では、1対1ではなく、市内3病院(市立・厚生・桜ヶ丘)と医師会という形での協力体制作りの会議を重ねており、病院毎に何が出来るのかといった情報を医療機関相互で提供・共有することにより、患者さんがうまく病院を使えるようになればと思っております。又、勉強会を開催しようという話も煮詰まってきています。
(委 員) 病診連携については、市内3病院と医師会とで協力していくことが理想的であるので、今後どのようになっていくか期待したいと思います。
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