資料
● 静岡新聞2013年7月11日付朝刊31ページ掲載
清水病院で医療事故
透析患者が死亡、未公表 静岡
静岡市立清水病院(清水区)で1月、透析治療のカテーテルを抜き取られた市内の男性=当時(83)=が意識を失い、約1カ月後に死亡する医療事故が起きていたことが10日分かった。清水病院は遺族に謝罪し、慰謝料など計約2千万円の支払いを提示したが、事故を公表せず、保健所などに報告しなかった。
遺族側は病院側にあらためて説明を求めた上で、損害賠償訴訟や業務上過失致死容疑での刑事告訴を検討するという。
同日、男性の長男らが会見した。説明によると、男性は昨年12月、急性腎不全で清水病院に入院した。順調に回復したため1月21日、担当医が首の静脈に挿入されたカテーテルを抜いたところ、病室に戻る途中で意識を失った。通常は頭部を下げて抜管する必要があるのに、上げた状態で処置されたという。男性は静脈に空気が入ったため、血行障害の「脳空気塞栓症」を発症し、2月に転院先の病院で死亡した。
転院に際しても救急車の手配ミスがあったとして、代理人弁護士は「公表もせず、事故隠しをしている。二重、三重に悪質だ」と指摘した。長男は「父は本当に無念だったと思う」と述べた。
一方、清水病院は取材に「カテーテルを抜いた時に空気が入り、塞栓症を起こしたのは事実」と認めながらも、詳しい説明を避けた。
清水病院は医療事故の公表基準を明文化していない。田辺信宏市長は10日の定例会見で「公表基準を設けることが可能か検討する。遺族には誠意を持って対応したい」と話した。
(静岡新聞2013年7月11日朝刊31面)
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