資料
●毎日新聞 2004年3月19日朝刊27面
乳がん手術訴訟 市に250万円支払い命令 傷害の訴え退ける−−地裁判決 /静岡
誤って乳がんと診断され必要のない手術で乳房を切除されたとして、静岡市の主婦、竹下勇子さん(55)が同市立清水病院の担当医師と、病院を経営する市に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁は18日、250万円の支払いを命じる判決を言い渡した。佃浩一裁判長は原告側の主張を一部認めたが「医療を装った傷害行為だった」とする主な訴えは退けた。竹下さんは控訴する方針。
判決によると、竹下さんは91年12月、当時の清水市立病院で乳がんと診断され、翌年1月に右乳房を切除したが、右上半身のしびれなどの障害が残った。判決は、鑑定などから本当に乳がんだったとし、障害についても「医師の過失によるものとは言えない」と指摘。一方で、医師ががん告知の翌日に手術の選択を迫ったことを「十分な理解、納得をしてもらう配慮が足りない」と述べ、賠償を命じた。
同病院をめぐっては、過去10年間で同市や担当医を訴える医療事故の損害賠償訴訟が7件あり、現在も1件が係争中。損害賠償を命じる判決は初めてだが、竹下さんの「がんの診断そのものが偽り」という主張の根幹は退けられた。
同病院には、治療や対応に疑問を持つ元患者や支援者らでつくる「静岡市立清水病院から被害をなくす会」がある。竹下さんは遺族のほか、手術を不審に思う元患者らに連携を呼びかけ、行政にも改善を訴えてきた。
判決後、病院側は「判決内容を見極め、関係機関と相談し今後の対応を検討したい」とコメントを出した。【小松雄介、鈴木梢】(毎日新聞)
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