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竹下裁判

傍聴のお願い――竹下裁判控訴審、第2回弁論のご案内

 日時:2005年10月31日(月) 午前10時
 場所:東京高裁(地裁と同じ建物)8階第810号法廷
 問合せ:「静岡市立清水病院から被害をなくす会

 提訴から9年8ヶ月を経た私の裁判ですが、昨年7月の東京高裁の第1回弁論から早1年3ヶ月が経過しました。
 この間、進行協議(非公開での話し合い)が度重ねられ、ようやく第2回目の弁論が開かれることになりました。皆様に傍聴していただけるととても心強いので、ぜひ傍聴をお願いしたく、ご案内申し上げます。

 今回の第2回目の弁論で何が焦点になるのか、また前回の法廷以来1年3ヶ月にわたってどのような進行協議が行なわれてきたのかをご説明する前に、控訴以前のことについて簡単に触れておきます。
 東京高裁でもそうですが、静岡地裁でも、原告は乳癌ではないのに乳癌だとして手術をされたのかどうかが最大の争点でした。
 地裁で被告側(清水病院&小坂昭夫)が提出した一切の証拠からは「原告が癌であった」ことを認めることはできませんでした。そこで、癌の唯一の証拠である初診翌日の生検で切り取った標本に、癌組織があるかどうかを病理鑑定に出すことになりました。
 しかし、原告は病院が裁判所に提出する癌組織標本が自分のものではなく他人のものではないかと疑い、標本の組織と原告の組織が一致するかどうかDNA鑑定を申請しました。
 その結果、病理鑑定では「標本には浸潤性の癌組織がある」となりました。一方、後から出てきたDNA鑑定では「核DNAは検出できず、ミトコンドリアDNAでの鑑定は可能」となり、鑑定の結果、ミトコンドリアDNAでは塩基配列が3カ所も違っており、「標本は原告のものとは言えない」ということになりました。DNAの研究者の間では「塩基配列が1カ所でも違えば他人のもの」と言われています。
 ミトコンドリアDNAの説明をすると、あまりにも専門的になりすぎるので省略しますが、昨年末、横田めぐみさんのものとされた遺骨の鑑定に使われたのがミトコンドリアDNAでした。
 昨春の地裁判決では、標本と原告の組織では日本人に特有な部分の塩基配列が違っていたにも関わらず、被告側の「癌による突然変異だ」という主張を何の科学的根拠も示さずに認め、「永久標本は原告のもの」と認定し、原告の主張を退けました。
 大変長くなりましたが、ここまでが約8年かけて審理された地裁段階の話です。

 東京高裁では、地裁判決の「癌による変異」を覆すために、癌組織標本のDNA再鑑定を求めました。
 ご存知のように第1回弁論では、原告の主張が認められ、DNA再鑑定が決定しました。そして、その後、非公開の進行協議が続けられてきました。
 1年3ヶ月にわたった進行協議では、誰に再鑑定を依頼するのか、再鑑定の方法はどうするのかに多くの時間が費やされました。
 結論から言えば、鑑定は裁判所が選定した民間企業の株式会社ティーエスエルが行いました。鑑定方法は標本から癌組織と正常組織を分離して、それぞれの組織について核DNAとミトコンドリアDNAで鑑定することになりました。
 そして、進行協議の場で、鑑定結果が出されました。
 意外なことに、地裁の鑑定結果とは逆に、ひとつの細胞の中に複数(数百から数千)あるミトコンドリアDNAは検出されず、ひとつの細胞にひとつしかない核DNAが検出できたということでした。その核DNAを解析したところ、標本は原告のものであるという鑑定結果でした。ミトコンドリアDNAの解析ができなかったことで再鑑定本来の目的を達することはできませんでした。
 予想外の鑑定結果に驚いたのですが、株式会社ティーエスエルの鑑定書に付された病理標本は浸潤性の癌ではなく「非浸潤性の癌」が認められたのです。もし、東京高裁に提出された標本が、静岡地裁に提出されたものと同じであれば、病理結果は同じでなければなりません。
 つまり、地裁に提出された組織標本とは違う組織標本が高裁に提出された可能性がきわめて高いのです。鑑定に使われた組織標本は地裁判決後病院へ返却され、高裁へは再提出されています。ほかにも疑問点がありますが、それは省略します。
 原告は高裁に再々鑑定を求める意見書を提出します。
 今回の東京高裁の弁論では再々鑑定を認めるかどうかが最大の争点になります。病院側からは鑑定の必要はないという書面が出されています。それが認められれば、敗訴となる可能性大です。
 高裁がどういう結論を出すのか。核DNAが一致したのだから、再々鑑定の必要なしとするのか、それとも癌の性質の違いに着目し、高裁に提出された組織そのものを疑って、再々鑑定を認めるのか。
 重要な裁判です。ぜひ、傍聴に参加して応援していただきたいのでよろしくお願いいたします。

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