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竹下裁判

傍聴お礼と、判決の傍聴のお願い

 3月6日の第4回弁論を傍聴してくださったみなさま、ありがとうございました。
 当日は、この裁判の総まとめとなる以下の書面を提出しました。そして、地裁DNA鑑定との対比のために、新たな鑑定(ミトコンドリアDNAでの鑑定)を申請しましたが却下され、結審となりました。
 判決は5月17日午後1時15分です。ぜひ、傍聴をお願いいたします。
 以下は、第4回弁論で提出した書面です(左端の数字は控訴審書面一覧の番号で、書面本文は追って掲載します)。

(27)控訴審準備書面(1)事実経過について
(28)控訴審準備書面(2)ティーエスエルによるDNA鑑定について
(29)控訴審準備書面(2)補充
(30)控訴審準備書面(3)損害について
(31)控訴審準備書面(4)病院側から控訴されている部分についての反論
(32)準備書面訂正の上申書
(33) 新たな鑑定申請書(ミトコンドリアDNAでの鑑定)

甲号証として
(34)ティーエスエル会社概要(甲115号証) ティーエスエルはエスアールエル100%出資子会社
(35)エスアールエルと子会社との合併のお知らせ(甲116号証) ティーエスエルはエスアールエルになる
(36) 保土ヶ谷事件の概要(甲117-1号証) 同様に標本のDNA鑑定が問題となった事件の概要
(37) ティーエスエル鑑定人の意見書(甲117-2号証) 同じ鑑定人が保土ヶ谷事件では核DNAが解析できず「当社の技術不足」を認めて謝罪している
(38) 保土ヶ谷事件の原告最終準備書面(甲118号証) 「同社(ティーエスエル)の意見書は参考にならない」と断じている
(39) ご質問に対する回答(甲119号証) 岐阜大学大学院医学系研究科医科学専攻医療管理学講座法医学分野 永井淳先生
(40) 当事者照会申立書(甲120-1号証)  書面一覧(23)と同じ
(41) 当事者照会回答書(甲120-2号証)  書面一覧(24)と同じ
(42) 手術写真6人分(甲121号証)  小坂手術を受けた6人の写真
(43) 質問及び回答書(甲122号証)  鶴見大学歯学部法医歯学教室佐藤慶太先生(地裁でのDNA鑑定人)

<提出した書面の説明>

(27)控訴審準備書面(1) 事実経過について
 事実経過の中で解明されていないことがいくつもある不思議さと、地裁判決文の事実認定の間違いを指摘しました。
 この裁判の特徴的なことは、提訴後、原告が病理診断について標本の存在も含め疑問に思い、釈明を求めた時から、原告の組織を癌と診断したという病理医が被告側から何人も登場してきたことです。後からの主張であることを裁判所にわかって欲しいと今回の書面では主張しています。
 初診検査結果に癌の所見が何もないのに、いきなり翌日(年末の仕事納めの12月27日(金))生検をやって迅速標本を作り、被告自らそれを持参し、清水病院からタクシーと新幹線とタクシーを乗り継いで、アポなしで浜松医科大の喜納教授のところに出向いた。喜納教授に診断を依頼したところ癌と診断してもらった。しかも、その日に、翌年の1月6日(月)に永久標本が作製されるから、それを届けるので、永久標本の診断もして欲しいという約束も取り付けた。そして1月6日(月)に年始廻りに来た製薬会社の社員に浜松医科大の喜納教授に標本を届けさせ、電話で癌という診断をしてもらった。
 被告のこれらの主張は証拠は一切なく、単なる「主張」でしかありませんでした。被告が喜納教授を登場させた時、すでに喜納教授は亡くなられていました。
 誰が聞いても後からの創作ではないかと思うような被告主張に対して、地裁判決では「被告の主張は筋が通っている」と認定しました。
 ほかにも判決文には日付の認定間違いが多々あります。一番重要な間違いは、1月7日に病理医が永久標本を診断したと被告が主張しているにもかかわらず、それをも無視して地裁は家族へ癌の説明をした1月6日に診断したと認定したことです。ほかの間違いも事実と照らし合わせて指摘しました。
 もっとも不思議なことは、被告医師がいなくなって、被告病院の乳癌手術が半減し、乳癌が清水の風土病ではなくなったことの疑問も投げ掛けました。

(28)控訴準備書面(2) ティーエスエル鑑定について
 鑑定人が中立の立場ではなかったこと、技術不足だったことがわかり、ティーエスエル鑑定の信頼性は失われたと主張しました。
 ティーエスエルは検査会社エスアールエルの100%出資子会社で、この4月に両社は吸収合併することがわかりました。ティーエスエルはエスアールエルになるわけです。
 そのエスアールエルは提訴後、被告側から2点の証拠を出していました。しかも、「被告病院検査科の管理下にある」と提訴後間もない頃に被告医師の陳述書に書かれていました。これでは中立の立場での鑑定は到底望めない状況だったことがわかりました。
 しかも、他の裁判(保土ヶ谷事件)で、技量不足を鑑定人自身が認めて謝罪している文書が証拠として出されており、その書面を今回、提出しました。
 ティーエスエル鑑定は核DNAが検出され、ミトコンドリアDNAは検出されなかった。 核DNAの解析結果、正常細胞組織では原告と一致したというものでした。
 しかし、永井意見書(書面一覧の(39))や、地裁鑑定人の佐藤意見書(書面一覧の(43))でも明記されていますが、ひとつの細胞に核DNAは一個、ミトコンドリアDNAは数百以上存在します。それにもかかわらず核DNAが検出されてミトコンドリアDNAが検出されないのは「考えられない」ということです。
 核DNAはひとつの細胞に一個しかないため、新鮮で保存状態が良いものでないと検出されませんが、ミトコンドリアDNAの場合は数百年前の人骨、あるいは生物からも検出されています。横田めぐみさんのものとされる人骨は焼かれたものでした。それにもかかわらず帝京大学は検出できたといいます。
 実際、保土ヶ谷事件では核DNAは検出されず、「技量不足だった」とティーエスエルの同じ鑑定人が関係者に謝罪しています。しかし、保土ヶ谷事件の標本よりも5年も古い原告(竹下)の核DNAは検出できたというわけです。
 疑念はまだあります。この裁判で病理にかかわった医師は、前述の亡くなられている喜納教授だけが浜松医科大で、他の長村氏、稲田氏、多田氏、中村氏はいずれも清水病院が提携している東海大学病理の医局に所属する医師でした。中村氏はティーエスエル鑑定を補強する意見書(書面一覧(18))を出していますが、原告の当事者紹介によって現在、清水病院の非常勤医師であり、意見書は清水病院長から当日勤務していた中村氏に依頼したと回答しました。また前述したようにエスアールエル(ティーエスエルの親会社)は清水病院の管理下にありました。
 こうしたことから、原告の組織と一致したというティーエスエルの解析結果は「作為」(つまり今流行りの言葉で使えば偽装)ではないかとまで今回の書面で主張しました。

(30)控訴審準備書面(3) 損害について
 地裁判決では、すべて否定されましたが、被告医師によって癌ではないのに癌の手術をされ、しかも劣悪な手術であり、障害7級の診断を受けていること。無断で抗癌剤の投与試験の対象者とされて抗癌剤を投与され、その後遺症に苦しんでいることを主張しました。
 被告医師の劣悪な手術を証明するために、原告以外の6人の手術写真も今回提出しました。

(31)控訴審準備書面(4)控訴されている部分に対して控訴棄却を求める書面について
 地裁判決では説明義務違反の部分で原告の主張を認めました。それに対して控訴されているわけですが、そもそも癌告知や家族に癌の説明があった段階で癌の証拠がないわけで、事実認定そのものが間違っている以上、控訴の理由にならないと主張しました。

(33)あらたな鑑定申請書について
 ティーエスエル鑑定ではミトコンドリアDNAが検出できず、地裁鑑定との対比ができなかったため、再度、ミトコンドリアDNA鑑定を申請しました。

(39) 永井意見書
 DNA鑑定に関するもので、核DNAが検出されてミトコンドリアDNAが検出できなかったことへの疑問と、原告が日本人の特徴的な塩基配列をもっていることをご自身の研究結果と比較してのご意見です。

(43)佐藤意見書
 地裁鑑定の鑑定人として、今回、ティーエスエルが核DNAが解析できて、ミトコンドリアDNAの検出ができなかったことへの疑問と、前回の鑑定結果を癌の影響では説明が困難であることのご意見です。

 以上、ご報告です。

 高裁での審理は終りましたが、カルテに何も書いてなくて癌患者にされるのでは、誰もが癌患者になりうることになります。そんなことがまかり通らないように、これからも、世の中に訴え続けていこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

竹下勇子

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