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竹下裁判

上告棄却の理由

1.上告について
  民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2.上告受理申立てについて
  本件申立の理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。

              決定日   平成19年10月18日
              裁判所   最高裁判所第一小法廷

上告棄却について解説

 最高裁は、憲法違反が上告の理由となっていないため上告を棄却しました。一般的に言われている“門前払い”です。
 日本の裁判制度は一、二審が事実審、最高裁は法律審となっており、高裁判決で事実認定にどんなに重大な誤りがあろうが、憲法違反を理由としない限り、上告は受理されません。
 今回の上告では、東京高裁が依拠したTSLの鑑定は証拠をもとに非科学的で信頼できるものではないと主張しましたが、憲法違反が理由ではないと、やはり判断を忌避されてしまいました。
 ここ数年、法曹界の間で、上告審の門を狭めていることに批判が強まっているだけに、少しばかりは期待していたのですが、残念というしかありません。
 高裁が重大な事実誤認をした場合でも、それが最高裁で、はなから顧みられないのであれば、「まだ最高裁がある」という希望は打ち崩され、司法への不信感は強まるばかりです。
 今回の上告棄却によって『竹下裁判』は不本意な形で終結してしまいました。
 長い間のご支援、心からお礼を申し上げます。
 竹下裁判が終わっても、当会の目的は「静岡市立清水病院から被害をなくす」ことにあり、引き続き、清水病院の医療のあり方を問い続けていきます。
 上告棄却に対して、清水病院の重野幸次院長は「正当な判断と考えている。今後も患者中心の医療を実践し、高度で質の高い医療を提供いたします」とコメントしました。(静岡新聞2007年10月24日29面)
 ところが、「質の高い医療の提供」とは掛け声ばかりで、『竹下裁判』が始まってから表面化しただけでも実に10件もの医療事故が起きています。そのうち2件は裁判に、1件は調停になりました。今年も新たに1件の提訴があり、現在、係争中です。この裁判以外にも1件の調停申し立ても行われました。他にも会にはいくつかの相談や被害の訴えが寄せられています。以上のような状況からすると、水面下で和解が成立したケース(和解条件は和解内容を口外しない)も少なからずあると推測しています。
 私たちは清水病院が患者を裏切ることなく、市民から信頼される病院に改革されることを願っています。
 今後ともご支援、よろしくお願いいたします。

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