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竹下裁判

控訴理由書(2) 〜事実認定について〜

第1 原審の事実認定のあり方について
第2 原審の具体的事実認定について
 1 平成3年12月27日喜納教授による病理診断
 2 家族に対する説明日の設定及び家族への説明について
 3 1月6日喜納教授の診断
 4 小括
第3 控訴人の鑑定人との接触について
第4 まとめ

 pdf版はこちら

第2 原審の具体的事実認定について

  3 1月6日喜納教授の診断

(1)

 以上のように、1月6日における控訴人に対する説明が多田医師の病理診断に基づくものではなかったとすれば、小坂の主張を正当化できるのは、喜納教授による病理診断である。
 原審判決は、喜納教授による永久標本の診断について、不当にも以下のように認定した。
 「同月(平成4年1月)6日、被告小坂は、前年12月27日に浜松医科大学の喜納教授に、原告の永久標本が作製されたらこの診断をお願いしたいと依頼済みであったので、・・・喜納教授は、この永久標本によって、浸潤性乳管癌、乳頭腺管癌と診断し、その結果を被告小坂に連絡した。」(原審判決11頁)

(2)

 1月6日の永久標本に対する診断は、12月27日に小坂が浜松医科大学に行ったときに喜納教授に依頼したというのであるから、当然に12月27日に小坂が喜納教授に会っていることを前提とする事実である。
 しかしながら、前記第2の1で論じたとおり、また、2003年10月9日付原告準備書面で論じたとおり、12月27日に小坂が喜納教授に会ったとの事実は、認定できないものである。
 この点における原審の不当性は前述したとおりであるが、1月6日における永久標本の運搬についても、関係者の供述内容と小坂の供述内容とが食い違っているものであり、これをもって小坂の供述内容どおりの事実認定をした原審は批判を免れるものではない。
 この点を以下に論ずる。

(3)

 1月6日に標本を喜納教授のもとに運んだとされる塩野義製薬のT氏は以下のように供述している(甲87号証)。すなわち、
 「その際、小坂医師から預かったものは茶封筒(大きさはA4よりも大きくなかったと思います)に入れられておりました。その中身については、説明も受けておりませんし、私から内容を確認したこともありません。その中身がなんであるか特に意識しないまま助手席にその封筒をおいて浜松に行きました。」
 「以前に清水市立病院から依頼を受けて、陳述書に署名をしましたが、その文章は私自身が作成したものではなく、清水市立病院からその当時の塩野義の担当者を通して社内メールで送られてきたものでした。私としては何かを運んだことは事実でしたので、その中身が問題となっているとは知らずに、その送られてきた文書を読んであれは標本だったのかと思いつつ、その
まま送られてきた文書に署名をしたものでした。」

(4)

 これに対し、小坂の供述は以下のとおりである。
 小坂調書@291、293〜295
 「浜松医大までは、だれが標本を運んだんですか。」
 「Tさんです。」

 「どういうふうに頼んだの」
 「検体を搬送してもらえないかということを頼んだわけです。」

 「なんの検体ですか。」
 「病理標本ですね。」

 「予備の標本だとか言って説明したんですか。」
 「ええ、これはもちろんスペアですので、予備の標本だということも説明しました。」

 小坂調書A(430〜431、436)
 「Tさんには標本を渡したという話になっているんですけれども、Tさんには、これは標本だといわゆるプレパラートだということをお示して渡したんですか。」
 「ケースがございますので、そのケースの中に入れて、お渡ししたというふうに記憶しております。」

 「そのケースの中に、そういうものがあるということを示してということですか。」
 「そういうことです。先生がさっきご覧になった大きいやつのあれの小さいやつです。」

 「中身は、Tさんに分からずに、これを浜松医大に届けてくれと。」
 「中身も教えないで届けるということは、別にTさんに限らず、そういうことではありません」

(5)

 以上のとおり、T氏の供述と小坂の供述とは、その内容を異にしている。どちらかが事実に反する供述をしているということであるが、T氏は、標本を喜納教授に届けたかどうかという点について、何ら利害関係を持たない いわば第三者的立場にあるのに対し、小坂は標本が喜納教授のもとに届けられるという事実を作らなければ、その主張事実・供述事実を裏付けることができない関係にあるので、大きな利害関係を有していることになる。そうだとすれば、どちらの供述が客観的であるかは明白である。
 原審判決は、この点の認識を誤り合理的な認定を怠り、判決の結論に重大な影響を及ぼす事実誤認を犯したとの批判を免れない。

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